卒業式 

こんばんは
今日は満月。
お月様の下で、さくらんぼの桜が満開です。

水曜日は、娘の小学校の卒業式でした。
その日は朝から雨。
かわいそうに思いましたけれど、娘は気にしない様子で、傘をさして元気に登校してゆきました。

子どもたちは、このところ何日も、卒業式の練習をしていました。
今日はようやく迎えた本番です。
練習したとおりなのでしょう、しずしずと入場してきました。
卒業証書は、一人ずつ壇上で受け取ります。
送辞や答辞は、全員で少しずつ分担した「呼びかけ」でした。

おじぎの仕方も、大きな声で返事をすることも、何もかも、全部、練習させてもらって、
卒業式は最後の授業です。

全部が授業で、どこまでも全部が先生の手の中。
あばれものの孫悟空の空が、お釈迦様の手の中にあったみたいに。

卒業の歌は、「仰げば尊し」ではなくて、聞き慣れない、最近の難しい歌でした。

一同、礼。
一人ずつあいだをあけて、ゆっくり退場してゆく子どもたちの列。
よく見ると、どの子もみんな、少し窮屈になった制服を着て、とてもあどけない顔をしているのでした。

先生、一緒に写真撮ってー。
はいはい。


[2008/03/22 23:34] 教育 | TB(0) | CM(4)

卒業式 

おはようございます。
窓から見える紅梅の香りが、冷たい風に乗ってかすかに届いています。

一日、最後に勤めた高校の卒業式に行ってきました。
高校の卒業式は、毎年三月一日です。

今年は、最後に担任した子ども達の卒業式でした。
これで、私が関わった高校生はもういなくなりますから、私の卒業式でもありました。

私は、保護者席の一番後ろに座りました。
式は、時間ちょうどに始まりました。

これまで何回となく出席してきた卒業式。
それは長く見てきた風景の一つで、思った通り講堂は、とても寒いのでした。

担任が卒業生の名前を一人一人呼びます。
子ども達は呼ばれたら返事をして、その場に立つのです。

名前を呼んで、返事をして立ち上がること。
卒業式は、ただそれだけの、その一瞬です。

つらかったり、楽しかったりした三年間も、同じ一瞬。

私は、声が詰まってしまいそうな担任を、心の中で励ましながら、立ち上がる一人一人の背中を見ていました。

ようやく春の風が…
あっという間の三年間

答辞を読む声は、細くてかわいい声でした。
ぼんやりとそれをききながら、前に答辞の文章を一緒に考えた男の子、今ごろどうしているかな、などと思い出します。

最後は退場してゆく卒業生を、講堂の出口で、教員たちが拍手で送ります。
私もその列に並びました。

退場してくる子ども達が、列になって歩きながら、立っている私を見つけます。

先生
先生

私は言葉が出なくて、何人も何人も頭をなでて、背中をなでて。

やがて卒業生の列が終わりました。

私の卒業式も、そうやって終わりました。


[2008/03/03 10:28] 教育 | TB(0) | CM(4)

だめですね 

おはようございます。
ここから一番近い田の稲刈りが昨日終わりました。
彼岸花も、もう終わります。

これから大学です。
火曜日に、私が作った資料を見て、
先生が「だめですね」。

デキの悪さに少しいらいらされているようでした。
だめなのかあ。

どこがだめなのか、わからない。
どうだめなのか、全然わからない。
でもきっとだめなのでしょう。

どうすればいいのでしょう。

ふふふ。

私は今日もいそいそと大学へ行きます。





[2007/10/12 08:41] 教育 | TB(0) | CM(0)

プールの時間 

こんにちは。
雨が上がりましたね。

昨日、島の小学校に行きました。
午後、日も差してきて、水泳ができることになりました。
子どもたちは大喜び。

バスをお願いして、全校で、隣町の小学校にある共有プールに出かけます。
朝乗ったときには、とうとう降りるまで、乗客は私一人だったバスが、子どもたちでいっぱいになりました。

先生も、みんなプールに入ります。

一番できないグループの子は、5人。
浅い方のプールで、顔をつける練習です。
5秒間浸けていられたら、次のグループに行けます。
高橋先生が大きな声で「いち、にい」って数えます。
かなちゃんは、鼻の先くらいしか水に浸かっていません。
けんとくんもあっというまに顔を上げてしまいました。

となりのグループは、わにさんの練習です。
体を伸ばして、水の中に、手をついて静かに進むわにさんは、3人。
あとのわにさんは、座って泳ぐまねをしたり、立って向こうへ行ってしまったり。

次のグループは、深いプールです。
バタ足で進みます。
浜松先生の「ここまできてごらん」っていう声が、ずっと何回も何回も聞こえています。
手を引いて、後ろに下がりながら、息継ぎのたびに、一緒に「ぷは~」って声をあげている加藤先生。
教頭先生の背中に誰かがぶら下がっています。

どの子を見ても、目が合います。
「先生見ててね」って、どの子もどの子もみんなそう言っているのが聞こえます。
「うん、見てるよ。」
めちゃめちゃなクロール。
ヘンなバタ足。
あれあれ大きく曲がっちゃた。
立ち上がるとすぐに、「見てくれてた?」「どうだった?」って、こっちを見ます。
「見てるよ。」ってにっこり。

「先生、ピン持ってて」って、ピンクの帽子の子が、プールサイドの私の方に手を伸ばしました。
3年生かな。
光るもようの細いヘアピンが2本。

わにさんだったゆうなちゃんが、水に浮こうとしています。
先生が、お腹のところを抱いています。
前に出されたゆうなちゃんの指が固まって、かちかちに力が入っているのが分かります。
浅いプールの水面に、明るい光がゆらゆらしています。
先生の手の上の、ゆうなちゃんの小さくてまっすぐな体。

加藤先生が、自分の肩にかなちゃんの両手をのせて、向き合ったまま水面に下がっていきます。
「いち、にい、さん、し、ごっ」

白い金網で囲まれたプールの中の時間。
明るい、水面の光の中の、永遠と同じ5秒。

私は、小さなヘアピンを握りしめています。
この世界に入る鍵のように。

「見てるよ。ずっと見てる。」ずっと。




[2007/07/12 12:42] 教育 | TB(0) | CM(5)

三十二の瞳 

こんばんは
梅雨の晴れ間です。

先日、島の小さな小学校に行きました。
着いたときは、お昼の掃除時間中でした。

小さな校舎を小さな子供達がお掃除していました。
女の子がリノリウムの床をぞうきんで拭いています。
よく見ると、斜めにきまぐれに進んでいます。
下駄箱の砂を掃きだしている身体の大きい男の子。
その先のすぐ外側がグランドです。
グランドというには、とても小さなグランド。
今は誰も外に出ていないのに、なぜか子供達がいるような気がいたします。

クラスの子どもは15人。
教室の窓からは、気持ちのいい風が吹いてきます。
こっちを見て笑ってくれる女の子や、困ったような様子をする男の子。
子供達の目いっぱいに、私の姿が写っています。

授業が始まりました。
先生の声がとてもよく聞こえます。

司会は山野くんです。
校長先生も、先生たちもみんな来ました。
「さんねん峠」
「三年峠で転んだならば、三年きりしか生きられぬ。」

そうそう、私の担任の先生は木下先生でした。
もじゃもじゃ頭で、すぐ「ごめんごめん」て言いました。
ねえねえ先生、今日いいことあったんだよ。あとで教えたげるね。
先生、なんかお話しして。
先生。

6月のよく晴れた日の午後です。
私は、いつのまにか16人目の子どもになって教室に座っています。

今日、知らない人が授業を見に来ました。






[2007/06/17 00:20] 教育 | TB(0) | CM(2)

保護者懇談会 

こんにちは
休日の朝、雨が降ると、本当にまったりですね。

昨日は参観日でした。
娘に可愛くしてきてといわれ、洋服まで指定された。
ちょっと可愛すぎるような気がしたけど、考えるのも面倒だし、それを着て行った。
心なしか浮いているような気がした。
その服は、笑顔でないと似合わないような服で、他のお母さんたちは、笑顔が似合わないような服を着てきていたのでした。
その後の懇談会では、その笑顔服を着た私が、「二学期制、反対なんですけど」と、一保護者としてできるだけ静かに意見を申しあげた。
つもりだったが、他のお母さんも一斉に反対だと言い始めてしまった。
聞いてみたら全員反対なのでした。
何だかナー。

[2007/02/17 12:08] 教育 | TB(0) | CM(2)

永訣の朝 

明日は冷えるそうです。
風花が舞うかも知れません。

父親を亡くしたばかりの子がいる教室で、宮沢賢治「永訣の朝」の授業をすること。

その子は、耐えきれない悲しみを背負っていて、誰も代わってやれないので、時間がたつのを待つしかないと思う。
でも、どうして時間がたつと悲しみが薄らぐのでしょう。
薄らぐのではなくて、自分の中で何度も反芻するうち、形を変えて自分の中に沈殿してゆくのではないかと思ったりします。

家族を亡くした悲しみを、深く悲しむこと。
その子の中でも、それは繰り返し、繰り返し悲しまれるのではないかと思います。
ある日の、そのきっかけが、たとえば「永訣の朝」であったなら、
その子の中に、より純度の高い悲しみが押し寄せているのではないか、と心配し、また喜びます。
今日「永訣の朝」に触れたことで、より深く悲しみ、より深く沈殿されてゆく。

文学の授業の、それは本望であるという気もいたします。

[2007/01/31 13:19] 教育 | TB(0) | CM(2)

センター試験 

センター試験が終わりました。
翌日、見るともなしに、新聞の「国語」の問題を見ました。
初めに見たのは三番の古文。

姿を隠した女と、それを心に残したまま別の結婚をした男。
男がその人であると気づいた女が、顔を見せぬまま、すっとその場から出てゆく。
そのたたずまいに、女の面影を心に浮かべる男。
そしてその瞬間、男は、彼女がさっき書き散らした歌を見つけてしまう。

男にとっても女にとっても叶わぬ恋。
表面的には何事も起こらないけれど、二人の気持ちの中は、それぞれ息つくような瞬間の連続である。
試験場でなくてよかった。こんなにせつない恋の場面、泣いてしまいそう。
『兵部卿物語』。読んだことのない文章でしたが、天下のセンター試験の問題文に、こんなせつない恋の話。
日本の教育を、ちょっと嬉しく思う瞬間でした。

ちなみに、二番の小説問題も恋の話。
四番の漢文は、試験中に居眠りする男の話。しかもその詩心が広大で気持ちいい。
一番の評論文も、よくある話と見せかけて、結局は瞬間志向ってこと?

いいよね、こういうの。


[2007/01/25 08:39] 教育 | TB(0) | CM(1)