旅日記 京都大原1 

こんんちは。
草刈り機の音が聞こえています。
リビングから合歓の花が見えます。
暑くなってまいりましたね。

今月の初め、母と叔母との三人で、一泊旅行をいたしました。
今まで、言うて楽しむばかりでした旅行の話を、私のお休みの間に実行したのです。

行き先は京都大原。
偉大なる祖母の血を引く猪突猛進型3人。
おかげさまで楽しい旅行になりました。

これと言って何が起こったわけでもありませんが、あれこれを書き残しておこうと思います。
よろしければおつきあい下さいませ。

まず、切符の手配係は私。
お安いトクトク切符、張り切って探しましたとも。
JR西日本おとなびパスを利用することに決定。(おすすめでございますよ)
グリーン車乗り放題の方に、これも独り決めです。(高齢者(母)がいるからというのが免罪符です)
二人に無理矢理おとなびインターネット登録を頼んでやや混乱。
大町駅の駅員さん、その節は大変お世話になりました。

いよいよ当日。
新幹線にそれぞれの駅から乗り込む形で無事集合。
グリーン席もなんのその、かしまし昔娘三人、ごめんあそばせでございます。
あっという間に京都到着。
いざ大原へ。

それにしても、大原って、本当に山の中ですねえ。

初めに寂光院にまいりました。
関門海峡に眠っておられる安徳帝のご母堂、建礼門院さまがその最後を過ごされたところです。
そこは、本当に山の中でした。

ここまで来られるのもさぞ大変だったことでしょう。
そんなことを話しながら、門をくぐります。
寂しいところだと思いました。

入水した壇ノ浦で一人引き上げられて、ここにいらしたのは29才の時。
ここでお過ごしになられたのは34才までだったそう。
気むずかしそうな年輩の女性が、とてもきちんと説明をして下さいました。

お住まいの跡はそのすぐ近く。
石碑が立てられておりました。
つくばいに流れ入る山水を、一口すくって飲みました。

墓前にも参りました。
建礼門院さま、私は春に、阿弥陀寺のお兄様方のお墓にお参りしてきたばかりなんですよ。
私の中の壇之浦の春の景色、見えますか。
良いお天気でしたよ。

心の中で、ちょっと親しくおしゃべりしたり。
はははです。

雨もよいの空の下、次は三千院へと移動です。
道々には赤い紫蘇畑。
大原名物、柴漬けのための畑です。
母は、旅行の直前まで、今年の梅干しのための紫蘇をもんでいたそうで、
畑の赤紫蘇が、みな古い種類のものだと言っては、ずいぶん感心していました。

三千院門前に到着。
まずは遅めのお昼です。
お豆腐料理のお店で、くみ上げ湯葉などをいただきました。
母娘らしい上品な方々の、家族経営らしいお店で、
素朴なお料理が、とても美味しゅうございました。

三千院はとても広くて、大きなお寺でした。
私たちは、仏様を丁寧に拝みました。

そのせいか、おみくじを引きましたら、三人とも大吉です!
全部大吉なのかしらと、ちょっと頭をかすめましたけれど、それでもとても嬉しい。
表紙のついた、ちゃんとしたおみくじ。
読み合って、それぞれ喜びました。
父に大きな薬師如来のお守りを買いました。
同じお守りを、母が私に買って渡してくれました。

私たちは、お庭が見える縁先の赤い毛氈に並んで座りました。
気分も乗って、お抹茶をいただくことにしたのです。
さっきお昼をいただいたばかりですのにね。
小雨に濡れたお庭が、しっとりとして風情があって、ただただ感心するばかり。

上等で美味しいお茶。
お羊羹もとても上等で美味しかったそうです。
台風のおかげで、少しも暑くなくて。ありがたいね、などなど、おしゃべりは続いて。
お庭の向こうには、半夏生の白い葉が翻ってみえておりました。

お寺の中に、写経のお部屋がありました。
ほほほ。これはチャンスです。
写経は、簡単に、“写経ハイ”ともいうべき真空的集中体験が味わえるのですよ。

それほど乗り気でない母と叔母を強引に誘って、
いざ写経です。

ちょっと強引だったかなあ。
書き始めてしばらくして、急に、母が時間がかかってしまうかもと心配になりました。
(写経ハイどころか、かなり気が散っています。)
後ろの母を振り返って、そっと手元をのぞき見ました。

何と!
母は私より2行くらい先を書いているではありませんか!
早っ。

これは遅れてはならじ、です。
急に集中。
一気に終わりまで書き終えました。
最後に、名前と住所と病気平癒と書いて、できあがりです。

顔を上げると、三人ほぼ同時に終了でした。
ぐったり。

仏様の掛け軸の前に、書き上がった紙を重ねて置きながら、さりげなく出来映えを比べます。
母のも叔母のも、整った雰囲気にきれいに書けていました。
老人侮るべからず。

外は驚くほど激しい雨になっていました。
ゆっくり歩いてお寺を出ました。
傘をさしてもびしょ濡れになるほどの雨でした。

写経をしたから、こんなに濡れることになった、と母がひと言文句を言いました。
お腹がすくと文句を言うのは、偉大な祖母の血筋です。
(その血は私にも娘にも脈々と受け継がれています。)
祖母が私の大学の卒業式に出席したいと言って東京に来てくれた時に、
お腹がすいて、あれこれさんざ文句を言った話は、今でもみんなの思い出の笑い話です。
あの時の祖母は今の母よりずっと若かったんですねえ。

私たちは濡れながら、苔のお庭の中を進みました。
地面がすべて、美しい緑の苔に覆われていて、
私たちはその苔と一緒に雨に包まれていました。

このきれいな緑色の世界にいる、小さな私。
その私が、今、ただここにいることにも、意味があるような、ふとそんな気がいたしました。

極楽は、晴れた空の下のお花畑ばかりではなくて、こんな苔庭のあるところなのかもしれません。
(キトちゃん、元気にしていますか?)

あちこちに紫陽花が咲いておりました。



父母に長年の友萩橙      ここ



[2017/07/17 13:04] 旅日記 | トラックバック(-) | CM(0)

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