研ぐ ただし切れすぎないように 

こんにちは。

四温。
山茱萸の花が満開です。

娘の一人暮らしの準備をしています。
先日は、包丁を買いに行きました。
いつぞやお話しいたしました菊菅さんです。

一世を風靡した刃物の菊菅ですが、今は、裏通りの、目立たないビルの2階にあります。
事務所のような入り口から、中に。

お料理初心者に適当な包丁を、とお願いいたします。
購入を決めた包丁に、今日の日付と娘の名前を入れて下さいました。

研ぎ方を覚えて行きなさい、とご主人。
無言で、私のすぐ横にある台の蛇口をひねると、50センチ立方くらいのマスに、頭上を通るホースから、お水が出てきました。
水を出しながら、マスに渡した木の台に砥石を固定します。

大きな声で、
誰でも出来るよ。
4ミリね、と仰りながら、砥石の上の包丁のミネを娘に指して見えるように。

砥石は、二種類が背中合わせに貼り合わせてあって、横にはそれぞれ、#200・#1000と大きく書かれています。

片側を研いだところで手を止めて、
触ってみて、と包丁を娘に。
おそるおそる刃を触る娘。
娘がうなずくのを確認して、また研ぎ続けるご主人。

手を止めて、そばのスポンジをすっと切って見せて、
ほらね、これだと切れすぎる。
家庭のお料理用はね、もうちょっと切れなくするよ。

ほら、切ってみてごらん。
分かるかな、こんな感じにね。

練習していく?
え?

見ると、どうやら娘は乗り気です。
おやまあ、ご主人が、たった今研いだばかりの包丁の刃を、砥石にこすりつけてつぶしてしまわれました。
おもむろに、ご自分の青い厚手のエプロンを外して娘に。
奥さんが後ろに回って、ひもを結んで下さいました。

職人っぽく汚れた、重そうなエプロンをした娘が、作業場の水の溜まった台の前に立ちます。

こう、こう、45度に。
最後まで引いて。と大きな声。
砥石を擦る、シュンシュンという音。
台は、使い込まれた感じで、角も支えもすっかり丸くなっています。

お母さん、忘れるから写真を撮っておかれるといいですよ。
え。
慌てて言われるまま携帯電話で写真を撮る私。

何段階かを経て、包丁が研ぎ上がりました。

ほら、もう一回切ってみてごらん。と、さっきのスポンジ。

ゴシゴシというのが分かるかな。
忘れないようにね。

娘は、手を洗って、後ろにかかったタオル(清潔なのかは不明)で手を拭き、エプロンを外します。

その間に、ご主人は、娘が研いだ包丁を、また研ぎ始めました。

古めかしい小さな機械のスイッチを入れると、ビーンという音。
作業台の向こう側を改めて見ると、いろんな機械やコード、ホースなどが雑然と置かれています。

再び静かになって、薄暗い作業場が、またお店に見えてきました。

ご主人は仕上がった包丁を、薄紙に包んで、箱に収め、菊菅の白い包装紙で包んで下さいました。

これをあげよう
ご主人が、どこからか出して来られたものは、なんと懐かしい100円札です。

今でも使えるよ。
お守りだ。お財布に入れておいて、お金を大事にしなさいね。

奥さんは、優しそうなご様子で娘とご主人を見ておられます。

娘は、思いのほか元気よく御礼を言って、長いおひげの伊藤博文の100円札を、大切そうに自分のお財布にしまいました。

娘と私は、何となく名残惜しくさえ思いながら、お店を後にしました。

楽しかったあ。
作業場萌えだった~。

今のところ、自炊をするとはりきってはいる娘、さて、どのくらい出来るものやら。

それでも、小さいながらも、初めての自分のお台所です。

思いもかけない応援に、感謝の午後でした。







[2014/03/20 11:52] 家族 | トラックバック(-) | CM(6)

 新しい春の準備ですね!
わくわくします。
身体に良いもの沢山こしらえて、毎日元気に勉学励んで下さい。

 本当に大きくなられましたね。
初めて、こちらにお邪魔させていただいたときは、まだ小学生であられましたね。
大学入学、おめでとうございます!
新生活、楽しんで下さい。
[2014/03/20 20:07] あやこ3 [ 編集 ]

さくらさんのお一人暮らしの最終準備が整いましたね
良いものをお選びになられたのですね
初めての自炊をされるさくらさんの為に御用意されたこの包丁が
いつかさくらさんの家族のお料理を作る一本にもなるのかしらe-446

それにしても包丁研ぎまでご指導くださるなんて
ありがたいですね
職人さんから教わったのですから
さくらさんの包丁研ぎはきっとお上手になりますね

私は父に教えてもらいました(*^_^*)
今でもその時の父の言葉をよく覚えていますよ
[2014/03/20 23:59] Hulaさん [ 編集 ]

あやこ3さん、こんばんは。

ご無沙汰しております。
温かいコメントをくださり、ありがとうございます。

私がお邪魔するようになった頃のあやこ3さん、ご子息さまが大学生でいらしたなあと思い出しております。
これから私のところを離れていくというのに、なぜか嬉しく準備をしております。

娘の高校時代は、入学と同時に、私が福岡での仕事を始めましたので、家族それぞれが、精いっぱいという感じの3年間でした。
これからまた、新しい家族の生活の形を作ってゆかなくちゃですね。

寒暖差の激しいこの頃です。
どうぞどうぞお気をつけてお過ごしくださいませ。
[2014/03/21 21:40] ここ [ 編集 ]

Hulaさん、こんばんは。

器用でいらしたというHulaさんのお父さま、どんな風にお嬢様のHulaさんにお教え下さったのでしょう。
Hulaさんのお料理の素晴らしさは、お父さま仕込みの包丁の切れ味も一役なのですね。
お話を伺って、私も今度、父に包丁研ぎを教わりたいと思いました。

娘が自分の家庭を持つようになるなんて、今まで少しも想像したことがありませんでしたので、いただきましたコメントに、実はちょっとビックリいたしました。
娘がいなくなる生活、頑張れるかしらと、少々心配しています。
Hulaさんのような母親になりたいと願っています。

[2014/03/21 22:10] ここ [ 編集 ]

あ、ごめんなさいe-466
私も送信してから、ずいぶん先のことを想像してしまったなと思いました
これから大学生としての新生活が始まるお嬢様ですのにね
でも良い包丁ならばずっとずっと使って行かれるのだろうな~と思いましたら
そんな先のことまで・・・e-350
失礼いたしましたe-449
[2014/03/24 23:33] Hulaさん [ 編集 ]

Hulaさん、おはようございます!

どういたしまして、ありがとうございます。
娘は、一人っ子ですので、ずっと先に私たち両親がいなくなったときに、一人になってはいけませんから、
常々、是非結婚して、たくさん子どものいる楽しい家をお作りなさいと話しておりました。
それでも、いよいよそれが現実になってくると、やっぱりうろたえるのかしらんと、可笑しいような気がしています。

私も、Hulaさんのご家族さまのように、皆が何となく集うような、そんな家が作ってゆけたらと夢見ています。
福岡は、いよいよ桜が満開になりました。
[2014/03/26 10:29] ここ [ 編集 ]

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