れんげ 

こんにちは
花冷えの夜です。
梢の一番先まで花をつけて、そのまま木全体が、凍りついたように見えています。部屋に、名残のストーブを焚いています。

家族の掲示板に、母から。

「今日は良く晴れていて、昨日行った花のとんねるのピンク色が良く見えています 色々と楽しかったです。居間からお外の風景を眺めながら、ゆっくりとしています。前の赤い椿の垣根がゆらいでいるので結構風があるのでしょう。
 今年の桜も一番良い時に一緒に見られてほんとに良かったですね 

 二人での散歩道も桜並木になっていてなかなかよろしいですよ
土手の下の農道も又宜しくて、今年はれんげ田が、所々あって、小さい時あの中で転がりまわった事など思い出されます。あの方は、うさぎの餌に毎日苅っていたそうです。」


夕方のお散歩は、れんげの咲いているところへ行きました。

転校して間もない日の帰り道、れんげの花があんまりたくさん咲いているので、嬉しくなって、ランドセルのままれんげ田に入りました。
その時、ことばが違うといって、男の子たちが私のまねをしてからかっていたけど、すこしもいやではなくて、そうか、そう言わないんだなあって思いながら、一生懸命れんげを摘んでいたのを覚えています。

仲良し三人になると、よく仲間はずれにされていました。
子どもの私は、それがあまり、つらくなかったように思います。
もしかすると、私は「ひとり」に強いのかもしれません。

そういえば、思いあたることがあります。
出産の時、夜更けに陣痛で入院したのですが、当直のたった一人の看護婦さんが新米で、規則ですからといって、朝になるまで家族を入れてくれませんでした。
小さな産院の、真夜中の静かな病棟にいたのは、私一人だけでした。
どこか離れた部屋に、その看護婦がいるはずでした。
陣痛が起こるたび、私は、その時刻を紙に書き留めました。
今見ると、その時の字はひどくゆがんで、列もゆがんでいますが、その時の私は冷静で、さびしくもつらくもなくて、一人でいることが当たり前でした。
たぶん、誰かにそばにいて欲しいということを、思いつかなかったのだと思います。

この先、何か大事なとき、私はまた、誰かにそばにいて欲しいということを、思いつかぬまま、一人でいるような気がします。
そしてそのことが、さびしくもつらくもないのだろうと思います。

れんげを少し摘んで帰ることにしました。



[2007/04/05 23:12] 思い出 | TB(0) | CM(4)

あやこ3さんのページをたどってここさんのここへたどりつきました。なんとすてきな文と絵なんでしょう.三保の松原の伝説の羽衣の天女をみる気分です。失礼しました。おゆるしください。ではさようなら。
[2007/04/07 18:36] ちいくん [ 編集 ]

ちいくんさん、はじめまして。
ようこそおいで下さいました。この頃、自分の書くことに良さを見つけられなくなっていたので、お褒めいただいて、とっても元気が出ました。
それと、男の方に、こんな文章をいいと思っていただけるというのも、驚きつつ、嬉しいです。
どうぞ、またいらしてくださいませ。
あやこ3さんにも感謝です。
[2007/04/07 20:09] ここ [ 編集 ]

ここさん、こんばんは。
このお話しも、いい具合の甘い毒を感じました。やはりここさんは、すごい言葉の紡ぎ手なのですね。自由に、柔らかく泳ぐような言葉たちの奥に、やはりただならぬここさんの存在を感じます。
何気ないこと。そのことが一番むつかしいのですから。
[2007/04/08 23:55] まき衛門 [ 編集 ]

まき衛門さん、こんばんは。
ようこそお越し下さいました。いつもあたたかい御批評下さって、ありがとうございます。
まき衛門さんに言っていただいて以来、毒ということをいつも意識しています。あの時の、毒があってもいいんだ、という許されてホッとした感じが今も続いています。とても嬉しいことでした。それにしても、毒は、難しい課題ですね。多すぎて、死にそうになることも!

[2007/04/09 00:46] ここ [ 編集 ]

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