知らぬ間に 

こんばんは。
いつもの日曜日。

今日は‘とんど’の日でした。
朝8時に竹本さんの家の前に集まって、竹集め。
夫も出て行きました。

しばらくの間、家の前を、男の人たちが、長い竹を曳いてゆく音がしていました。
点火は午後3時です。

3時少し前に、折出さんの田んぼに下りていきました。
毎年のように、竹のやぐらはふた山作られていました。
ビルの3階ほどの高さでしょうか。

かけ声も何もなく、火がつけれらました。
とんどの火は、激しく燃えて、ゆっくりと黒く燃え落ち始めます。
絶え間なく、竹がはじける音。
音は、手前の山にこだましています。

誰も黙りがちに、火を見ています。
黒い灰が、しゅっしゅっと空に吹き上げられています。

とても長い時間の様に思われましたが、10分ほどだったかもしれません。
やぐらが燃え落ちると、急に賑やかになります。

太い青竹をそばに置いて、お酒に燗をつけます。
長い竹の先に吊した網に鏡餅を乗せて、そこで焼きます。
毎年、おぜんざいのふるまいがあるのです。
皆それぞれ、お椀とお箸を手に持っています。
燗のついたお酒は、小さい青竹に注いで配られます。

今年は、不器用者の夫が、餅焼き網をこしらえました。
私たちがここに住んで、今年は15年目のとんどです。

網を吊すために、竹の無い我が家は、庭の芙蓉の枝を伐って持っていきました。
でも用意した芙蓉の枝が短かくて、火の近くまで寄らなくてはなりません。

来年は、竹をもらおう。

火の熱さをこらえながら、夫がそう言いました。

私はその時、この人も、少し変わったなと思いました。

「最初の計画」「世界の人口」
どこかの子の、ちょっと情緒のない言葉を書いた書き初めが、風になびきながら燃えました。
火の中には、我が家の昨年のお守りも入っています。

火が、いろんなものをのみ込んで、オレンジ色をして燃えています。
その火で焼いたお餅を食べてしまう自分も、何もかものみ込んでゆく山姥です。

男に餅を焼かせて、ただ笑いながらそれを喰らう。
こんな山里に、ただ長く在るうちに、女はいつか、我知らず山姥となるのでしょう。
こうして火に向かうと、その姿が照らし出されてしまっているのにも気付かずにいます。

ぜんざいの椀の中には黒い煤が浮かんでおりました。
私は、それをせっせと口に運びます。

煤の味も、また佳しでございます。




 燃え落ちてのち人の寄るとんど焼     ここ



 
[2011/01/09 23:15] 日記 | トラックバック(-) | CM(6)

ここさん おはようございます。

とんど懐かしいです。
焼けおちたらお餅焼いて食べてたな~

このあたりは16日に小学校の校庭であるようで
年男の孫は招待されてましたよ~
[2011/01/10 09:50] - [ 編集 ]

こんばんは。

お孫さん、書き初め、書かれましたでしょうか?
年男さんなら、豆まきで言えば福男。
みなさんによい一年になりそうですね。


[2011/01/10 19:12] ここ [ 編集 ]

こんにちは
このところ、コメント残せずに失礼いたしております。
でもお伺いするたびに、心豊かにさせて頂いております事、
毎回感謝いたしております。
ありがとうございます(*^_^*)

[2011/01/11 11:07] Hulaさん [ 編集 ]

Hulaさん、こんばんは。

いつもHulaさんのコメントに、とても励まされてます。
コメント、お気持ちの向かれた時に、お声をおかけ下されば、大丈夫です。いつもあしあと見つけては、嬉しくなってますから。
今日もありがとうございます。

[2011/01/11 19:47] ここ [ 編集 ]

こんばんは。

激しく燃えて、静か。
そちらでは「とんど」とよぶのですか?
私の田舎では「どんど」と言いました。
竹のやぐらはそんなに高くなく、そのかわり雪の田んぼの果てに、いくつかの「どんど」の火が見えました。
終わったあとも、酒をのむでもなく雪明かりの中を、ひめやかに帰った記憶が多いのです。こうして拝読していると、幻想的な光景が浮かんできます。まだ日本が残っているんだなあという気持ちにさせられます。なんか心地よく眠れそうです。ありがとうございました。

どんど焼き果てて雪嶺に囲まるる(石原八束)
[2011/01/11 23:50] - [ 編集 ]

静か

> 激しく燃えて、静か。

こちらは、今日は雪になりました。
いただいたコメントの、雪の夕暮れのどんどの後の静かな情景が、胸に迫りました。

どんど、今も同じように行われているといいなあと心から願います。

こちらのとんど、農家の方のお世話で続いています。
神楽などの行事も、そのたびの炊き出しも、みな農家の方のお世話です。
農作業の合間の楽しみでもあるのだと思います。
来たばかり(15年!)の私たちは、喜んで参加することくらいしかできませんが、ありがたいなあと思っています。

また一つ、句を教えてくださって、ありがとうございました。

> どんど焼き果てて雪嶺に囲まるる(石原八束)

[2011/01/12 08:24] ここ [ 編集 ]

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