文集「私の好きなもの」 

こんばんは。

お正月もいよいよ終わりですね。
私も明日から授業。
天気予報は雪です。

昨年末、授業でささやかな文集を作りました。
学生さんの原稿はもう集まっています。
その最後に、「おわりに」として載せる文章を、さっきあわてて書いたところです。
今年も先が思いやられます。



        おわりに

 毎週木曜日、日本語表現Ⅰの授業が行われる3階の教室は、裏山の斜面に面しています。窓からは、いろんな小鳥や、それから、石榴や、栗、今なら枇杷の花など、実のなる木々も見えます。私は、毎週ここに来るのが楽しみでした。

 ここに集められた文章は、「私の好きなもの」というテーマで自由に書かれた、授業時間の課題作文です。その時の条件は一つだけ、自分は、そのどこが好きなのか、どう好きなのかを書いて下さいということでした。
 興味のない社会問題や、あまり詳しくない事柄について書くのではなく、自分の好きなものについて書くのですから、そんなの簡単だと思われるでしょうか。しかしそれは、実際には案外難しいことだと思います。
 まず第一に、自分が本当に好きだと思うものについて、それが好きだと宣言することは、やはり少々勇気が要ります。誰もが良いと認めてくれそうなものならまだしも、もしそうでなければ一層です。
 次に、書いているうちに、こういう風に思うのは自分だけではないかという気がしてきて、少々不安になります。興味を持ってもらえるなんて思えないし、良さを分かってくれるはずがないという気がしてきます…。

 私たちは、毎週木曜日、同じ場所に集まって、同じように授業を受け、時々は窓の外を見たりしていました。でも、その授業や景色の記憶は、きっとそれぞれ少しずつ違うものだろうと想像します。人は、同じものを見て、同じものを好きだと思っていても、その思いはそれぞれに違うのです。だから、自分の眼で見て自分で感じたことを言葉にすることは、私が、他の誰でもない私であるということの表明です。
 私は、独り立ちするということの初めの一歩は、誰かの眼を通して周囲を見るのでなく、自分自身で、自分の今いる世界を感じることだと思います。そして私たちは、自分を取り巻く世界が、自分にどう見えているのかを表現することを通してしか、他とつながることはできないのだと考えます。
 
 誰でもない、あなたの眼で見て、あなた自身が感じたことが、いつも初めの一歩です。この先、もしも何かに迷った気がした時には、「自分の好きなもの」についてちょっとだけ勇気を出して話してくれたこの教室の風景を思い出して下さい。何かの役に立つかもしれません。
 
 あなたの好きなものは何ですか?
 あなたの好きなものについて、私に話して聞かせてください。


                           2010年12月  ここ   
                                               」



[2011/01/06 00:21] 教育 | トラックバック(-) | CM(2)

とっても素敵な文章ですね。

読んでいて、感銘を受けました。


そして、自分だったら何と答えるだろうか?と考えました。


〉自分が本当に好きだと思うものについて、それが好きだと宣言することは、やはり少々勇気が要ります。

歌の歌詞ではありませんが♪好きなものは好きと言える気持ち


勇気こそが、自分を磨いてくれるものだなぁ、と思います。


ここさんの言われる、


)だから、自分の眼で見て自分で感じたことを言葉にすることは、私が、他の誰でもない私であるということの表明です。


自己表現をすることで他者との間にある、互いの違いを認めていくことの大切さは本当にそうだなぁ、と思いました。


ちなみに私の好きなものは私の家族です。
[2011/01/06 13:23] フウガ [ 編集 ]

フウガさん、こんばんは。
お越し下さって、ありがとうございます。
またコメント下さって嬉しうございました。

フウガさんの好きなもの、ご家族なんですね。
素敵です。
ご家族について語るのは、やっぱりちょっと照れそうですね。

よかったら、またどうぞいらしてくださいませ。
ありがとうございました。
[2011/01/06 20:53] ここ [ 編集 ]

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