わたしは空 

こんばんは
夜が更けてきました。

娘が国語の教科書を見せてくれました。

巻頭は「わたしを束ねないで」という新川和江さんの詩。

授業でこの詩の続きを書いたそうです。
娘が考えた詩の続きが、少し厚めのカードに、マジックで丁寧に書かれていました。
教室に貼り出された人もいたそうですが、娘のは貼り出されなかったそうです。

そういえば、いつか車の中でこの詩のことを「よくわかんない」と話してました。
その詩のことはうろ覚えでしたけれど、

ほんの少し前までね、女の人はいろいろと制限されて、なかなか自分の好きなように出来なかったからね。
ママたちの頃だってそうだったよ。きっと新川さんもね。
そう思って読んでみたらどうかなあ。

運転しながら、なんとなくそう言ったのでした。

なるほどねー。
なんて、いかにも分かったみたいに娘。

今日、久しぶりに読んでみると、その詩は思っていたのとは少し違っていましたけど。

マミとか、カホッちとかね、ミキのも貼り出されたんだよ。
ママ、さくらちゃんの、とってもいいと思うよ。
でしょー。

今はこれ。ルロイ修道士の。

井上ひさしさんの「握手」という作品です。
しばらくの間、黙って読んでみました。
どこか奥の方が、ツーンとします。
娘はそばに座って、私が読むのをじっと待っていました。

これはどうだった?
私ときたら、読み終わってそう聞いた声が、ちょっと涙声。

うーん、まあまあかな。

さくらちゃん、これの中でどこが好き?
ルロイ修道士が楽しいことを話すところかな。

あ、ここでしょう?ページをめくって探します。

そう。

それは、天使園で育ってバスの運転手になった上川君が、ルロイ修道士が乗ると、バスをぶんぶんとばして、停留所じゃないのに天使園の正面に止めてしまうという話のところでした。
このお話の中で、唯一明るい場面です。

ママは?
うん、ママはねえ。
「総理大臣のようなことを言ってはいけませんよ。」っていうところかな。

そう言ってから、娘が言ったところの方が、やっぱりうんと面白いなあと思いました。

私の手の中の教科書。
まだ新しいせいか、それはずっしりと重く感じられました。


「 
  私を見すごさないで
  地面に落ちてはとける雪のように
  流れ続ける雲のように
  見すごさないでください
  わたしは空
  どこにいても見える空
  どこまでも続いている空

                さくら   」







「 わたしを束ねないで   新川和江

  わたしを束ねないで
  あらせいとうの花のように
  白い葱のように
  束ねないでください わたしは稲穂
  秋 大地が胸を焦がす
  見渡すかぎりの金色の稲穂

  わたしを止めないで
  標本箱の昆虫のように
  高原からきた絵葉書のように
  止めないでください わたしは羽撃き
  こやみなく空のひろさをかいさぐっている
  目には見えないつばさの音

  わたしを注がないで
  日常性に薄められた牛乳のように
  ぬるい酒のように
  注がないでください わたしは海
  夜 とほうもなく満ちてくる
  苦い潮 ふちのない水

  わたしを名付けないで
  娘という名 妻という名
  重々しい母という名でしつらえた座に
  坐りきりにさせないでください わたしは風
  りんごの木と
  泉のありかを知っている風

  わたしを区切らないで
  , や . いくつかの段落
  そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
  こまめにけりをつけないでください わたしは終りのない文章
  川と同じに
  はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩

                                 」



[2010/05/12 00:40] 日記 | トラックバック(-) | CM(4)

こんにちは
ちょっと御無沙汰でした。

さくらちゃんの詩、とっても素敵です!
”私を、見すごさないでください”・・・
他の同年代の生徒さんはどんな書きだしだったのかしら。

”私は空”
そうですね、晴れている空ばかりではなく、時には曇っていることだってある・・・
そんなさくらちゃんを、ここさんは見過ごすことはありませんよね。
私、とっても感動しました
ご紹介下さりありがとうございました。
さくらちゃんに宜しくお伝えくださいね(笑顔)
[2010/05/18 09:49] Hulaさん [ 編集 ]

Hulaさん、こんばんは。
お忙しくしていらしたご様子、お疲れは出ていませんか。

さくらの詩、ほめてくださってありがとうございます。早速Hulaさんのコメントを一緒に見ました。
大喜びです。
「でしょー」ですって。笑っちゃいました。
きっと励みになると思います。
ありがとうございました。
[2010/05/18 21:48] ここ [ 編集 ]

はじめまして

こんにちは。
以前から、いつも楽しく読ませていただいているのですが、
コメンをかくのは、はじまして、です。
さくらちゃんの詩、とてもとても、すてきです。
なんだか、涙が出ました。
若くて、みずみずしくて、
どこまでもひろがりそうな空、ですね。


[2010/05/19 12:03] ながこ [ 編集 ]

ながこさん、こんばんは。
コメントありがとうございました。以前からいらしてくださってるとのこと、うかがってとても嬉しかったです。
そして、さくらの詩おほめてくださってありがとうございます。もし、この詩のおかげでコメントをくださったのでしたら、娘にも感謝しないといけません。
いただいたコメントを、また一緒に読もうと思います。ありがとうございました。
娘は、一人っ子のせいか、何だか調子狂うくらいのんびり屋さんです(どうやら本人はそう思っていないようですけど。)きっとすごく喜ぶと思います。
またどうぞ、いらしてくださいませね。

[2010/05/19 20:21] ここ [ 編集 ]

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