永訣の朝 

こんばんは。
今日は、11月の最後の日でした。
ニシムクサムライ。

非常勤の授業日なのに、なんの準備もしないまま朝を迎えてしまいました。
今日は、宮沢賢治の「永訣の朝」の授業だからと、話してあります。
こまったなー。
追い詰められて、古い、自分のノートを探しました。

あった。
ルーズリーフに3枚。
見ると、詩の本文のコピーが貼られていて、昔の私の字で、丁寧な授業計画が書き込まれています。
セーフ。
そのルーズリーフをカバンに投げ込んで、急いで家を出ました。

信号を待つ間、そのルーズリーフを出して、とにかく詩を読むことにしました。
車の中なので、誰にも聞こえませんから、大きな声で、読みました。
どんな詩だったか、思い出そうとして、ただ読んでいました。

   あめゆじゅとてちてけんじゃ

ただ読んでいるだけなのに、
あれ?
あきれたことに、私の声が泣いています。

青いじゅんさい模様の茶碗の中の、白くて透明なみぞれ雪。

信号がかわって、私は車を発進し、右折のための車線変更をします。

信号待ち。
続きを読みます。

   Ora Orade Shitori egumo

いかにも東北なまり風に読む自分をクスッと笑いながら、泣けてきて、泣けてきて。

高校までは、車でたった10分ほど。
泣きながら、正門を入ってゆく私。
あやしうこそものぐるほしけれ。

授業は、3階の教室。
何食わぬ顔で授業を始めました。

えー、先生、泣いてるー。
詩を読んで泣く先生って、初めて見たー。

そう?よくある話だと思うよ。(なんてね)

どうやら、声を出して読むのはまずいらしいです。




 永訣の朝
                     宮沢賢治

けふのうちに
とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
うすあかくいっさう陰惨な雲から
みぞれはびちょびちょふってくる
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
青い蓴菜のもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀に
おまへがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしはまがったてっぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになって
わたくしをいっしゃうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
   (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
 銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
…ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまってゐる
わたくしはそのうへにあぶなくたち
雪と水とのまっしろな二相系をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらっていかう
わたしたちがいっしょにそだってきたあひだ
みなれたちゃわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あああのとざされた病室の
くらいびゃうぶやかやのなかに
やさしくあをじろく燃えてゐる
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこもまっしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
   (うまれでくるたて
    こんどはこたにわりやのごとばかりで
    くるしまなあよにうまれてくる)
おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ

[2009/12/01 00:10] 教育 | トラックバック(-) | CM(2)

こんにちは

今は、非常勤講師をなさっているのですね。
ここ先生がこられる日、生徒さんは幸せですね

ふっと、私が大好きだった小学校の先生を
思い出しました。

5年生の時の鈴木たか子先生です。
優しくて、笑顔が好きでした。

先生に赤ちゃんがお生まれになった時、
先生のお宅を訪問した事があります。
それを不思議と時々思い出すのです

お伺いした時、赤ちゃんのそばに、いつもより
もっと優しい先生がいらっしゃいました
[2009/12/01 17:03] Hulaさん [ 編集 ]

Hulaさん、こんばんは

Hulaさんの鈴木先生の思い出、本当にふんわりやさしい気持ちになりました。
きっとどなたにも、大切な先生との思い出がありますよね。
私のことは忘れても、何かが少しでも子どもたちの中に伝わっているといいなあと、いつも思っています。
(でも、授業はなかなかうまくいきません。)
[2009/12/01 23:32] ここ [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する