トウシューズ 

こんばんは
雨になりました。

今朝、街に買い物に行きました。
娘のトウシューズです。

トウシューズは、うすいピンクのサテンでくるんだ小さな靴です。
細いひもで、履き込み口を絞り、サテンリボンを足首に巻きます。
靴底の部分には、足よりふた回り小さい堅い革があたっています。
それは、決して表の道を歩くことのない、布製のくつです。

娘が歩き始める前、真っ白い革のファーストシューズを準備しました。
歩けるようになったら、その靴を履いて外へ出かけるのです。
しっかりした作りの、その白い革の靴で、晴れた日の地面を歩く娘。
その日を心待ちにしながら、私は、幼い娘がくつに慣れるようにと思って、赤いフェルトで小さなくつを作りました。
部屋の中で、ただ履いてみるだけの、やわらかいフェルトのくつでした。
柔らかい足をくるむだけの、くつにならないくつ。

トウシューズを買うときは、足にぴったり合っていないと痛いので、たくさんのものを、何度も履いてみることになります。
小さな鏡と木製のバー。
「1番の足にしてください。」
「プリエしてください。」
「6番にしてください。」
「プリエしてください。」
「立ってみてください。」
そしてサテンリボンを踏まないようにしながら、娘は静かに爪先立ちます。
「どうですか。」

何度も何度も。
履いては脱ぎしたピンクやオレンジのサテンのくつが、あたりいっぱいに並んでゆきます。
娘の足は、娘の足でしかなくて、どれが足に合っているのか、娘にしかわかりません。
お店の人も私も、ただ、心配そうに「どう?」と聞くだけ。
娘が、そのたびに聞き取れないほどの小さい声で何か言います。
同じことが何度も繰り返され、並べられてゆくトウシューズ。

ようやく決まったその一足を履いて踊る、つかの間の時間。
それは、娘にとってどういう時間なのか。
母である私は、その意味も知らず、手応えも知りません。

決して表の道を歩くことのない布製のくつ。
ただ、表を歩く固い靴を履く前に、少しでも。




[2007/03/11 00:41] 家族 | TB(0) | CM(2)

春の日射しの中で

明るいライトの下で華奢なトウシューズ選び、
うっすら上気しながらつぎつぎそっと履いては脱いで・・・春のお花たちが散らばったような
サテンのバレーシューズ。

やさしい母親のまなざしが見えます

ここさんのブログって春の日射しの中で詩集を開いているようです。そっとそっとページを捲って・・・。
[2007/03/11 16:51] ろしなんて [ 編集 ]

ろしなんてさま
いつもお優しいコメントをくださって、ありがとうございます。私の独りよがりの世界を、優しい目で見てくださる方があるということに、なによりも励まされています。これからも、どうぞご指導よろしくお願いいたします。

[2007/03/11 22:09] ここ [ 編集 ]

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