用の美 

こんにちは
梅雨の晴れ間です。

時々のぞく貸しギャラリーに、昨日は陶器が並んでいました。
私は時折ここに来て本を読みます。
スギゴケの狭いお庭。
穏やかなご夫婦の、いかにも定年後の楽しみという時間に、ひととき同居させていただくのです。

中央の丸テーブルに、お茶碗と、コップがのせられています。
厚手の鉢、コーヒー茶碗、四角い皿、花瓶。
器は、いかにも民芸といった、どれもどこかで見た気がする器でした。
私は軽く一回りして、さっさと席に座ります。
向こうに座って、主人と話している痩せた男の人が、どうやらこれらの器の作家のようでした。

お店に作業服の男の人が入ってきました。
丸顔で、楽しげな、その作業服の人は、すぐに、主人と親しげに話始めます。
お客さんとも何ともわかりません。

「アマチュア無線は女性が少ないよ。だから私と同い年の女性が、今でもみんなのマドンナなんだあ。」
「オープンカーっていうのは、夏は暑いらしいね。」

東北なまりの作家もまじっての、とりとめの無い話。

「JRの信号の仕事、しばらくやったけどね。」
私もなんとなく打ち解けてきて、聞きながら少し目線を交わします。
私はふいと立ち上がって、また器を見に行きました。

青い釉薬のかかったいかにも瓶という花瓶
赤みがかった背の高いコップ。

柳宗悦らが情熱を傾けた民芸が、何となく骨抜きにされて、この狭い店の中に並んでいました。
「40年やってるんです。実際に飲んでみてもらったら、わかってもらえる思うんですけどね。」
東北なまり。

手にとって、裏を見ると、「1500円」と書いたシール。
昼下がりの、どこかで聞いたような話。
どこかで見たような器。
今度は女性たちが数人入って来ました。

小さいの何か一つか二つ、買ってもよかったな。
街の幹線道路を運転して帰りながら、並んでいた器を思い出しました。

どこかで見たような気がする。
どこで、誰と、いつ?

覚えてるとか忘れたとかいう以前の、ただの暮らし。
はじめからいる家の者。
区切れなく続いてきた時間の全部。
ただ、ずっと前から。








[2007/07/08 11:31] 日記 | TB(0) | CM(3)

「実際に飲んでみてもらったら、わかってもらえる思うんですけどね。」
ですか。なんだか就活を思いだしました。雇ってもらえれば、イイやつだって・・・。バッグとか靴、小物類のお店では、ほとんどこれじゃないですか? 

うーん、なるほど。なにか失ってる。ただ見かけの美しさってものじゃなく。陶器とか、伝統芸能はメチャ弱い者ですけど。

これが人だとすれば、トキメキみたいな?
ガンダムのフィギュア見て、いまでもズキンとするような☆
そうだ、やっぱり。うわー、得意の誤読かも知れませんけど。
絶望と希望のはざかいみたいな読後感がきました!
人って、賢いのかな? ほんとは馬鹿だから、トキメキを大切にするのかな? 馬鹿って、おれのことだな。

※ ご紹介の記事がいま完成しました。けど見ないのがベスト。ご覧になるなら、目をつぶったほうがいいです。なのでTBやめました。
[2007/07/08 14:38] わど [ 編集 ]

わどさん
一生懸命考えてくださってありがとうございます。人様に、このように考えていただくことは、なかなか無いことだと、ありがたく思っております。何よりでございました。明日からのお仕事、頑張ってくださいね。
[2007/07/08 19:11] ここ [ 編集 ]

最後を削除されたんですね

たった5文字を削除すると、こんなにも文章が変化するんですね。改定後、これでここさんの「覚悟」「悟り」みたいなものが整合的に定着されてるなって感じがします。そのかわり、いい悪いは別にして、改定前の激しい葛藤が失われてます? 
(誤読しても気がつかないやつ、それがおれの正体。ゲゲゲゲ)
[2007/07/09 00:01] わど [ 編集 ]

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