海と森のかけら 

おはようございます。
曇りですけれど、空はとても明るい、そんなお天気です。

今日は歩いて大学に来ました。
歩きながら、考え事をしているような、していないような。

裏門の前の道のアスファルトに、小さな白い貝殻がたくさん混じっていることに気がつきました。
こんな離れたところまで。
遠い海のかけら。

研究室に入ると、一番に窓を開けます。
ほんの少し、風が入ります。

ドアストッパーがあるといいな。
ただの、木のかけらの。

この部屋を、風が黙って抜けていくように。





[2012/05/31 10:10] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

さくらんぼ 

おはようございます。
今朝、曇り空の中空に、ちょうど日食の金環が見えました。
娘と一緒にちょっと見ました。

先週、急に時間が出来ましたので、一泊だけの里帰りをいたしました。
夜七時を過ぎて到着。
母の作ったかつおのたたき、特別に手に入れた日本酒とか、先日二人でいらした町内会の温泉会の話とか。
おしゃべりは尽きません。

朝になって、家の中をゆっくり歩いてみました。
母は、お弁当を作ると言って忙しくしています。
パタパタと廊下を走る音。
お弁当に使う葉蘭を採りに出たみたいです。

床の間には、山あじさいと縞あし。
玄関には芍薬と、父の新しい絵。
お庭の白い柚子の花。

戻って見ると、食卓に、さくらんぼが乗っています。

去年は、いただけなかったさくらんぼです。
さていただきましょうと思ったその日に、カラスにみんな取られてしまって、大騒ぎでした。
今年はパパが厳重に網をかけておいたから大丈夫。

実はさっき、その網を見て、大笑い。
あんまり厳重で、中の木が見えないほどでしたから。


ね、今渡しましょうか、パパ。

それは、母が漬けた今年のお味噌を送ってくださる便に同封の予定だった手紙でした。

二人、顔を見合わせるようににこにこしながら、私が手紙を読むのを見ています。
たまたま今日は、私のお誕生日だったのでした。

それから、三人で、今採ってきたさくらんぼをいただきました。
もうそろそろ、さくらんぼの時期も終わりです。

やさしいやさしいさくらんぼのお味。

間に合って、食べさせられて、よかったよかった。

父と母の嬉しさが、私の中で、甘酸っぱいさくらんぼの味に溶けて一緒になっていきます。






 お誕生日おめでとうございます。

 貴女は待ちに待った初めての子供でしたし、
 腹帯の日は、パパの家の両親と、ママ家の両親にヒラバラのアパートに来ていただいてお祝いをしました。

 あれから随分たちましたのに、色々となつかしく想い出されています。
 
 ここさんも未だまだこれから楽しいこと、嬉しいこと、又大変な事もございましょう。
 貴女のやさしさと強さでこれからも健康で幸せに過ごされます様、祈っております。

  五月十七日書                     
                           父母

                                   」





[2012/05/21 09:43] 家族 | トラックバック(-) | CM(4)

我が家 

おはようございます。
少しだけ風のある、よい朝です。

裏山に、キトリとお散歩。
二人とも黙って、ゆっくり坂を登っていきます。

あ、山の匂い。

ほんの少し、温度も下がりました。

今、空気の境目を越えました。
違う部屋に入るみたいに。

目には見えませんけれど、ここが山の入口です。
私たちは、山に入りました。

確かめたくなって、数歩戻ります。
あ、出た。
いたずらな気持ちで、出たり入ったりしてみます。
ふふふ。

登っていく間に、部屋の扉は何枚もあります。
だんだん深い山になっていきます。
部屋の中には、窓もあって、風の通り道があります。

青い天井。
いろんな色の木々の緑。

山全体が、我が家です。



[2012/05/14 10:07] 日記 | トラックバック(-) | CM(2)

立夏 

こんばんは。
暦は夏になりました。

裏山に上がる途中に、藤棚があります。
今日見ると、藤の花がたくさん咲いていました。

ここは以前、いろいろな花が咲く庭でした。
今では、誰も世話をする者がありません。

庭は草で覆われています。
藤の花は、その緑の上に美しく下がっていました。
草に埋もれた隅の方に、鳴子ゆりを見つけました。

見る人のない庭に、また夏が来ました。

静かな朝です。




[2012/05/07 23:13] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

山の人 

こんにちは。
家の周りの若葉の色が、いよいよ眩しいほどになりました。
連休の最終日、いかがお過ごしでしょう。

今日のお散歩は、また裏山の方へ参りました。
キトリがそっちへ行くと言ってきかないからです。

坂の途中で足を止めて、辺りを仰ぎながら、
「キトちゃん、風が気持ちいいねー。」なんてお話ししていたら、急にキトリが後ろに強く引っ張り始めました。

ヘンな帽子かぶって黒い足して、誰かと思ったら、キトリちゃんじゃないかあ。
あんたも毎日散歩で大変だなあ。
(ヘンな帽子…私のことだ)

時々出会う、山の人です。
これから裏山に、仕事に入られるのでしょう。
いつもの黒っぽいレインコート?姿です。

彼は、ちょっと変わり者のせいか、この辺りの人から嫌われているようです。
彼も、この辺の人たちを嫌っています。
腹黒いやつばっかりだ、とひどくお怒りの時に遭遇したこともあります。

学生時代に心理学の授業でなあ、フロイトが、人の行動のうちで、意識しているのは20%、あとは無意識だいうてなあ。

彼の話はいつも唐突に始まります。

結局ほとんど無意識ばっかりの自分の行動、どうしたらいいように持って行けるかとかなあ。
あんたは、旦那や子どもがいて、忙しゅうてそんなことなかろうけど、
ワタシは一人の時間があるけんなあ。

私は、彼のお話が、嫌いではありません。
昔、高等学校の社会科の先生をなさっていたのだそうです。
普通は知られない学校の中のことをご存じですから、それは本当のことだと思います。

彼のイントネーションは、この辺りのと少し違っています。

ほら、今の時代、どんどん奇妙な風に変わってきて、どうしようかと思うけど、それを、新しい行動をするためのエネルギーに変えていけばいい思うんや。
ポジティブにね。

白髪交じりの短い髪。
そんなお話の間も、まとわりつくキトリをたくさんなでなでしてくださっています。

ポジティブ、ですか…。

やっぱり若い人の行動力はいいですよー。
…では、さようなら。

え?
あ、さようなら。

この上のないほど爽やかな、いつもの笑顔。
話したいだけお話しなさると、また山のほうへ。

捨てゼリフは、

キトリ、もうちょっと痩せないかんでー。

がに股の後ろ姿が坂道を登って行きます。




[2012/05/06 12:07] 日記 | トラックバック(-) | CM(2)

桜木の下に 

こんにちは。
連休、いかがお過ごしですか。
こちらは今日もいいお天気です。

リビングの前の桜が、すっかり葉桜になりました。

花の時期はとうに過ぎて、散り敷いていた桜蘂ももう残っていません。
今は、その深い緑が、家の前の別れ道のところに、よい木陰をつくってくれています。

偶然にこの大きな桜の木の前に、家を持つことになりました。
福岡の部屋も、川辺の桜並木に面しています。

暮らしながら、桜の木は、佳いなあと思います。

そういえば、学生時代、下宿させていただいていたお宅にも、大きな桜の木がありました。
二階の部屋の南窓一面に、その梢が見えていました。

葉桜、桜紅葉、冬の枝。
花を待つ頃の幹の色、つぼみの明かり。

連休の今日、家族はそれぞれの用事で出かけてゆきました。
私は今日一日、ここで本を読んですごそうと思っています。


桜木の下にひねもす書を読まむ青葉の朝しべ降る夕べ    ここ




[2012/05/05 10:07] 日記 | トラックバック(-) | CM(4)

バレエ発表会 

リビングの前の桜の樹は、すっかり葉桜になりました。
もう向こうの道は見えません。
あたり一面、新緑につつまれています。

日曜日は、娘のバレエの発表会でした。

今の娘のバレエは、以前と違って、小さなバレエ教室での、週一回のレッスンです。
そのお教室での、ささやかな発表会でした。

前日には、義母からも豪華なお花が届いて、だんだんといつもの発表会の雰囲気に。
当日は、私の両親が見に来てくれました。

今回は、週一回のレッスン生ですから、出番も2曲だけ。
それでも、高校生ですし、いいところを踊らせていただいて、娘はとても嬉しそうでした。

私は、保護者会の動員で、お手伝いです。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、発表会などの時、舞台裏の保護者は案外大変なのです。
このたびの私は、日頃あまり手伝っていないにもかかわらず、皆さんから思わず温かく接していただいて、実はかなりのVIP待遇。
まだ移って間もないこのお教室で、娘が短い間にも培ってきた信頼のようなものを感じて、胸が熱くなりました。
娘の七光りですね。

楽屋を覗いてみると、娘は小さい子達のお世話をしたり、率先してメークをしたりしています。
大きな声でおしゃべりをして、とても活き活きしていました。

おかげさまで、舞台は無事終了。
親子共々必死だった頃とは違って、ちょっと落ち着いて傍観的に見ることができました。

親の欲目でしょう。
娘の踊りは、誰よりもきれいで、上手だと思いました。
不思議なことに、毎日のように熱心に練習していた頃より、上手になったように見えました。
優しくて、可憐で、しなやかな手の動き。
小さな娘が、随分大きく見えました。

本当に踊るのが好きなんだなあと思いました。
お友だちもたくさん見に来てくださって、みんなから誉められて、娘にとって、佳い一日になりました。

娘は、もうこれでバレエは辞めるのだそうです。

バレエのせいで、小さい頃から、家族でのお出かけも思うように出来なくて、何だかやりきれない思いをしたこともたくさんありました。
でも、これで最後の舞台だと思うと、あんなに踊れるのにと、今さらながらちょっともったいない気がします。

今までいろいろと大変でしたけど、娘には、いい思いをさせてもらったと思います。

さくらちゃん、ありがとう。
とってもきれいだったよ。


〈さくらちゃんへ、感謝をこめて〉
今日の日の備忘録として、この文章を残します。

いつも、誰よりも強いあなたを、ママはずっと、すごいなあと思って見ていました。
今まで、本当によくがんばりました。

リビングでおしゃべりしている間も、いつも踊っているさくらちゃん。
今のママはまだ、あなたがきっと、どこかでまた、踊りを始めるような気がしています。





[2012/05/01 15:04] 家族 | トラックバック(-) | CM(4)