野の花 

おはようございます。
朝の白い陽ざしの中にいます。

一昨日は、娘のピアノの発表会でした。
年に一度のささやかな発表会です。
一番小さい子のブルグミュラーから始まりました。

あ、上手だね。

短い曲の中に、走って追いかけるようなところと、静かにすうっと収まっていくところと。
小さい女の子の心の中のアラベスクが、ステージの上で音になって出てきます。
黒い大きなグランドピアノが照明のせいでぴかぴかに光っています。

娘の曲は、ソナチネ1番の第1楽章から第3楽章。
私はただ、心の中で娘の音楽について行っていました。
先生に注意されたところ、終わりの和音の音の響き。
ステージの明るい照明。

昨日娘が摘んできた花を、食卓や出窓に飾りました。
きんぽうげ、なずな、ホトケノザ、諸葛菜、クローバーの葉っぱ。
ガラスコップの縁から、野の花があふれ出て、ほんとうにきれい。

野の花のひかり。

娘の弾くソナチネ。


[2008/03/27 22:06] 日記 | TB(0) | CM(5)

卒業式 

こんばんは
今日は満月。
お月様の下で、さくらんぼの桜が満開です。

水曜日は、娘の小学校の卒業式でした。
その日は朝から雨。
かわいそうに思いましたけれど、娘は気にしない様子で、傘をさして元気に登校してゆきました。

子どもたちは、このところ何日も、卒業式の練習をしていました。
今日はようやく迎えた本番です。
練習したとおりなのでしょう、しずしずと入場してきました。
卒業証書は、一人ずつ壇上で受け取ります。
送辞や答辞は、全員で少しずつ分担した「呼びかけ」でした。

おじぎの仕方も、大きな声で返事をすることも、何もかも、全部、練習させてもらって、
卒業式は最後の授業です。

全部が授業で、どこまでも全部が先生の手の中。
あばれものの孫悟空の空が、お釈迦様の手の中にあったみたいに。

卒業の歌は、「仰げば尊し」ではなくて、聞き慣れない、最近の難しい歌でした。

一同、礼。
一人ずつあいだをあけて、ゆっくり退場してゆく子どもたちの列。
よく見ると、どの子もみんな、少し窮屈になった制服を着て、とてもあどけない顔をしているのでした。

先生、一緒に写真撮ってー。
はいはい。


[2008/03/22 23:34] 教育 | TB(0) | CM(4)

つくしとり 

こんばんは
今日、野の花が、一斉に開きました。

つくしとり。
昨日、見かけない女の人が、この辺りでつくしを採っていました。
だから今日は、キトリのお散歩に袋を持ってでかけました。

初めの一本を見つけると、あとは、次々に見えてきます。
あった。
あ、ここにもある。こっちの方にも。

少しずつ奥へ奥へと進んでいきます。
枯れ草とホトケノザの濃い緑まじりのつくしの原。
キトリはどこかであそんでいるのでしょう。

手の届くあたりの何本かを取ると必ず、少し向こうに、背の高いつくしが光って見えます。
そちらへ進んでそのあたりを何本か摘みます。
そうするとまた向こうに光るつくしが見えるのです。

野原には、誰もいなくて、私はひとりでつくしをつんでいました。
あんまりつくし摘みに一生懸命になりすぎたせいでしょうか、
ふと、私には、以前かわいい娘がいたような気がしてきました。
やさしい夫もいたような気がします。
こうしてつくしを摘んでいると、私は次第に夢のなかにいるような気分になって、
幼い娘と一緒につくし摘みをしたことがあるような気さえしてくるのでした。

私は我に返って立ち上がりました。
気がつくと、日が暮れてゆくつくし野の真ん中に私は一人でいました。

歩き始めると、見慣れない犬が、私に寄り添って歩いてきました。

夕暮れの中、私は見慣れたいつもの道を帰ります。
その犬がいつまでも私についてきました。



[2008/03/21 21:57] 日記 | TB(0) | CM(4)

ジャムを作ろう 

こんばんは
その後いかがお過ごしですか。

キウイを買ってきました。
透明の、手提げになった袋に、まだ少し固いキウイを10個ほど。
それは、育てた人の名前を書いた小さな紙をつけて売られていました。

急に、ジャムを作ろうと思いました。
きっと、エメラルド色に光る、美しいジャムが出来るでしょう。

作ると言っても、特に何をするわけでもありません。
ただじっと、時々はお鍋をゆっくりかきまぜるだけです。
過ぎていく時間を、そうやってお鍋に集めてゆく感じです。
そのうちに、いつのまにか、お鍋の中の果物が、宝石のようなジャムになるのです。

私はたぶん、誰かに何かを伝えたくて、うまくできなかった時、ジャムを作ります。

今日、私は、お店で急に、ああ、ジャムを作ろうと思いました。

息をのむほど美しいジャム。



[2008/03/21 02:06] 日記 | TB(0) | CM(2)

木の芽時 

こんにちは
菜の花の向こうに、畑のおじさんの麦わら帽子が見えています。
いいお天気です。

こう言ってはナンですが、私は、とても幸せです。
どこをどう考えても不幸のタネが見当たりません。
そうなのですが、ヒマなせいでしょうか、突然、不幸の妄想に入っちゃうことがあります。
今朝がちょうどそうでした。
私が誰にも理解されない不幸にうちひしがれていると。
めずらしく父から電話がありました。

明日、やっぱりそっちには行けないから。
ええっ、どうして。
いろいろと用事も多くて。
そんなあ。
ちょっとママに替わるよ。

あまりのことに、涙があふれ出てきました。
楽しみにしてたのに。
せっかくみんなで卒業のお祝いにケーキを食べようと思って予約したのに。

ママよー。そういうわけだからー。
うん。
あれ、泣いてるの。

泣いてるのがわかちゃうといけないので、返事も出来ません。
でも、電話って、こういうとき、絶対隠せないんですよね。
余計悲しくなって、さめざめと泣いてしまって止まりません。

まあまあ。パパー、泣いてますよ。
そりゃ、楽しみにしてたんじゃないの。ちょっと切るねー。

母は、特にうろたえた様子もありません。
困った子っていう感じです。

まあ、スケジュール的にもちょっと無理かなって思ってたし、
私も忙しいからそれはそれで助かる部分もあるし。
仕方ないなあって思いました。
それなのに、もう残念で、悲しくて仕方ありません。
電話を切ってから、子どもみたいに、えーんえーんって泣いてしまいました。
お風呂場に歩いて行って鏡を見ると、目を真っ赤にして、ほんとに私が泣いています。

案の定、5分もしないうちにまたかかってきました。

明日は無理だけど、あさってお昼から行くからー。
いいよ、無理しなくても。
まあ、行くことにしたからー。よろしくねー。

なんだか、だだっ子そのもの。
かなり情けない。
そういうことじゃないんだけどなあ。
中学生になろうかっていう娘がいるというのに、親が予定どおり遊びに来ないっていう理由で泣いてるって、明らかにヘン。
どちらかというと、母親はそっちを心配するべきなのではなかろうか。

まあ、結局来てくれることになって、ケーキも無駄にならずにすんで嬉しい。
卒業式の夜は、予定どおりみんなでお祝いです。

夕方になって、また父から電話。
父から電話がかかることなんて、年に何回もありません。
それが今日は二回目。

明日行けることになったよ。用事すませてきたから。

電話口で泣く娘のために、父は予定を変更して今まで出かけていたに違いありません。

いいよ、あさって来て。それで十分だから。ね。

もうすっかり不幸の妄想はどっかに飛んで行っていた私。
ひとりで庭に出て、大笑い。
もう、可笑しくて可笑しくて。

なんだったんでしょう。あんなに悲しいなんて。
子どもをなだめるように、私に話してくれる父と母。

はははー。

あ、大笑いすると、笑い声が母に似てる。



[2008/03/17 20:17] 家族 | TB(0) | CM(8)

日曜日の夜 

こんばんは
さくらんぼのなる桜の木に、花が咲きました。

日曜日の夜は、明日からの新しい一週間の準備です。
体操服や給食袋、マスク入れ、コップ入れ、上靴袋にアイロンをかけます。
月曜セットって言うんですよ。

マスク入れは、保育園の時にお弁当袋だった袋。
リスさんの下に娘の名前が刺繍してあります。
上靴袋は、低学年の頃のが小さくなって、途中新しく作りました。
その頃娘が好きだった、くまのテディー・ロビンソンの絵が刺繍してあります。

制服のスカートにアイロンをかけていたら、裾がほつれて落ちていました。
あれ、いつからこうなってたのかな。

手元用の小さい裁縫箱。
古くなったけど、お気に入りです。

アイロンの続き。
ついでにハンカチにもかけます。

日曜日の夜は、みんなが寝静まってから、ゆっくりアイロン。

娘は、まもなく小学校を卒業します。





[2008/03/17 00:43] 日記 | TB(0) | CM(0)

紅い花 

こんにちは
ひとしきり、雨が降りました。

お散歩途中、濃いピンク色の丸い小さな花びらが流れていくのを見つけました。
あ、また来た。
見ていると、次々流れてきます。

川の方を見ながら、歩いて上って行きます。
紅い花びらが、それぞれの田につながる小さな用水に、一枚、また一枚と吸い込まれていきます。

大きな紅梅のところまで来ました。
ここは、この小さな川の合流地点です。
深い谷になっていて、のぞき込むと、そこここに紅い花溜まり。

紅い花が咲く小さな谷。

花びらが、風に流されて、水に流されて、今日は、このあたり全体、紅を差した娘さんのようです。
[2008/03/14 16:23] 日記 | TB(0) | CM(2)

孵化 

こんにちは
春は曇りの日もいいですね。

今朝。
ふとしたついでに、お庭のデザインをする人のホームページを見つけました。
そこに載ってる写真を一つずつ見てゆきます。
お庭全体が、洗練という言葉を思わせる、不思議な感じです。

昨日。
送られてきた学会の雑誌をパラパラとばし読みしました。
なんか違うなあとか、そうそう、とか思いながら。
それから、昨日の夕食はお魚の煮たのにしました。

おととい。
届いた本が、初めから面白かったので、ちょっと娘に読んで聞かせたら、とられてしまいました。
『ある家族の会話』。
何でも思うとおりにしないと気が済まない父親。
ちょっと勝手な母親。
小説ではなくて、本当の家族のお話。

少し前。
雑誌の中の、つい引き込まれてしまった牧師の人の文章。
救いを求めるイエスとか、眠りこけていた弟子達、大事なことを伝えられなかった女たちの話。
たった数ページだったけど、この牧師さん自身の問いと彼自身の考えた答え。

私は、このごろ、あんまり何もする気が起こらなくて、ぼんやりしてました。
ただ、無性にお掃除がしたくなっていたのに、忙しいからって、少しずつにしたりして。
本当は時間がたっぷりあるのに。

そう、ぼんやりしてるのは、今に始まったことではなくて、もうずっと前から。
ずっと前から、ぼんやりと時間が過ぎていた気がします。
ずっと何にも見ないで、蓑虫みたいに。

私は、パソコンの画面の、ちょっと変わったお庭の写真を一枚ずつ見ていました。
どれもみんな、この人の庭。

蓑虫の父よと泣きて母も居ず

父も母も元気。
夫も子どもも元気。
私も元気。

そうだ。
私もそろそろ、私の仕事にとりかかろう。

最近、いつも元気な近所のおばさんを見かけないので心配していましたら、
今日久しぶりに畑に。
お嫁さんが早産しそうになって入院したから、上の孫のお守りにねって。
やっぱり畑がいいわあ。
野菜はおとなしくて。

まあ、それは大変でしたね。
ふふ、実はお留守の間にね、私もちょっと。

蓑からちょっと顔を出した蓑虫の目に映るいろいろ。

何回目かの孵化。
春です。


[2008/03/13 13:54] 日記 | TB(0) | CM(4)

神様のお遣い 

おはようございます。
急にあたたかくなりました。

いつものキトリのお散歩道。
S字の曲がり道にきました。
広くなっているところです。
私たちは、ここから右へ入って山の方にいきます。

向こう側を、見慣れない人が、見慣れないチワワとお散歩してます。
早速いつもの道を、ほんのちょっとずれて、近くへ行きました。
行き当たりばったりの二人です。

ちっちゃくてかわいいですね。
息子が連れてきたんです。

銀色ぶちの眼鏡をかけた60年配の男の人。
優しく撫でてもらって、キトリったら気持ちよさそう。

私もこの犬を12年飼いました。
12年ですか。よかったですね。

どこをみてるのかわからないカーブミラーの下。
ここはいつもいろんな人に会うところです。
野菜のおじさん。
モモちゃんとかコロちゃん。
生物生産部の元気な高校生たち。
今日はまだ誰も通りません。
風もなくて、いつもよりとてもあったかい春の夕方です。

この犬は、よく腫瘍ができるそうですよ。
そうなんです。

キトリの背中は、この間のできものの治療で刈った毛が、まだ生えそろっていません。
やっぱり目立つのかなあ。

向こうの方に車が来る気配がしました。

ああ、久しぶりに撫でた。
優しくしてくださって、ありがとうございました。チワワちゃん、また遊んでね。

それから、私たちは、いつもの山の方にのんびりお散歩の続きをいたしました。
いっぱい遊んだ帰り道、またカーブミラーのところに来ました。

12年。よかったですね。

あ、それ、違ってた…。
もっともっとだったに決まってます。15年とか、20年とか、100年とか。

ああ久しぶりに撫でたって、長ーい息を吐くみたいに。

ねえキトリ、あの人、自分のかわいい犬に会いに来たんだね。
誰かが言っていました。
神様は、一生懸命お願いすると、必ず願いを叶えてくださるって。
キトリはキトリじゃなくて、あの人のかわいいわんちゃんだったんだね。
ふふ、私たち、神様のお遣いのお散歩だったみたい。

会えてよかった。

いつも、少しも気づかないけど、
私がここに、ただこうしていることも、誰かのせつない願いにこたえているのかもしれません。

また会えるといいね。



[2008/03/11 09:55] 日記 | TB(0) | CM(2)

ハレタヒ 

こんばんは
あたりに菜の花の黄色が増えてきました。

先週のある日、我が家にフリーペーパーが届きました。
手作りの、小さな冊子です。
ブログで知り合って、未だお目にかかったことがない方が、送ってくださったのです。

それは、葉書よりも小さい本でした。
やわらかい乳白色のしっかりした紙を重ねて、ホチキス綴じてあります。
ホチキスのところには、英文テープと紅いテープが小さく貼ってあります。
そんな感じで、なにもかも丁寧に丁寧に作られています。

題は「ハレタヒ」
表紙に「どこかへ散歩に行こう。そうだ。今日は動物園へ。」って書かれています。
写真はホッキョクグマ。
後ろに水色のドアが写っています。

そう、お散歩の行く先は上野動物園。
入場券は、怖い虎の顔600円です。
カピバラ、ラマ、それからホッキョクグマ。
写真のそばには、どれもちょっとだけ文章が添えられています。

実は左側にもう一頭います。
寝ているクマのそばまで来ては、「まだ起きないの?」
と、うろうろしてます。

ね、なんだか愉快でしょ。

パンダさんは向こうを向いてます。
ヤギさん、ペンギンさんで、日が暮れてきて、最後は子ども遊園地。

このごろ、少し悲しいことがあったけど、
ちょうどその日、その代わりのようにこれが送られてきたので、
毎日毎日、何回も何回も読んでいます。
何回も上野動物園にやって来て、何回も子ども遊園地で日が暮れます。

それから私は、この小さな白い本を、私の好きな人たちに、見せてあげたいなと思います。

ねえ、見て見て。

[2008/03/09 23:46] 日記 | TB(0) | CM(2)

朝のお散歩 

おはようございます。
今朝は、昨日よりちょっとだけあったかいみたい。

今日も、キトリとパパは朝早くお散歩に出かけました。
あんまり早く出かけるので、まだ夜が明けきっていません。
夏でも冬でもきっかり同じ時間に出発です。

薄暗い中を二人は進みます。
ママなら、キトリがクンクンする間、のんびり待っててくれるのに、パパは全然止まりません。
どんどん歩きます。
クンクンしてると、ずずずずって引っ張られちゃいます。
パパの体重にはかないません。
ひどいときにはおしっこしてるのにずずずずず。
パパは全然こっちを見ません。
あ、でも足を踏み外して溝に落ちかけたときは、あれってふり返ってびっくりしてました。
キトリの体重だってなかなかです。

高校の裏門のところにきたら、ボール投げしてくれます。
6回って決めてるみたいです。
いつもきっかり6回ですから。

ボール投げしてるちょうどその時、ほかの面白いこと見つけちゃうことがあるんです。
そしたら、つい、ボールのこと忘れちゃって、どこにいったかわからなくなります。
まだ明るくなってないから、どこにいったかさっぱりです。
姿の見えない犯人を追いかける警察犬って、どうなってるんでしょう。

二人は、無くなったボールのことなんか忘れて、また歩き始めます。
パパは、時々近道します。
ママはよく花壇のところの木の階段を上がって、キトリもおいでーって呼んだりするけど、
パパはキトリがそんなの面倒って思ってるの知ってます。
これはそういう犬なんだよ。大変なことは最初っからやらないんだ。
ほら、こっちの坂だったら登るぞ。
そうかなあ。

毎朝ふたりは、のんびりずるずる。
まだ暗い道を歩いていきます。


[2008/03/05 09:04] 家族 | TB(0) | CM(2)

梅の約束 

こんばんは
終日、細い雨が降りました。

今日、人と会う約束をして、めったに行かない町にでかけました。
少し早く着いて、改札口で、ぼんやりと待ちました。
ずいぶん前の約束でしたから、覚えてもらっているかどうか、少し心配でした。
そこは幼い頃、中耳炎になる度に、母に手を引かれて来た町でした。
大学を卒業してから、またピアノを習ったのも、この近く。
帰りに喫茶店に寄るのが秘かな楽しみでした。
建物も昔のままで、駅前は色あせて、自転車の人が目立ちます。

これが花の咲かむをりは来むよ。

なんと曖昧な約束でしょう。
私はずっと待っていたのでした。
初めの花が咲いた日は、今日がその日かと喜びながら待ちました。
もっとたくさん咲く日のことだったかと、花が増えるのを喜びながら待ちました。

母親に手を引かれて、色の浅黒い女の子が通ってゆきました。

レッスン用の手提げを持った娘さんが、楽しそうに喫茶店のドアに手をかけました。

花も皆咲きぬれど、音もせず。

はて、約束したのは私の方だったか。
ずいぶん長い間待った様な気がしました。

待っていた人が、時間どおりに改札口に来ました。
コーヒーを飲みながら、簡単に用事を済ませて、電車の乗り場まで送って別れました。

私はその後もしばらく、久しぶりの駅前の風景を見ていました。

なほ頼め梅の立ち枝は契りおかぬ思ひのほかの人も訪ふなり

私は、傘をさして、ただ待っていました。




[2008/03/04 23:50] 日記 | TB(0) | CM(0)

卒業式 

おはようございます。
窓から見える紅梅の香りが、冷たい風に乗ってかすかに届いています。

一日、最後に勤めた高校の卒業式に行ってきました。
高校の卒業式は、毎年三月一日です。

今年は、最後に担任した子ども達の卒業式でした。
これで、私が関わった高校生はもういなくなりますから、私の卒業式でもありました。

私は、保護者席の一番後ろに座りました。
式は、時間ちょうどに始まりました。

これまで何回となく出席してきた卒業式。
それは長く見てきた風景の一つで、思った通り講堂は、とても寒いのでした。

担任が卒業生の名前を一人一人呼びます。
子ども達は呼ばれたら返事をして、その場に立つのです。

名前を呼んで、返事をして立ち上がること。
卒業式は、ただそれだけの、その一瞬です。

つらかったり、楽しかったりした三年間も、同じ一瞬。

私は、声が詰まってしまいそうな担任を、心の中で励ましながら、立ち上がる一人一人の背中を見ていました。

ようやく春の風が…
あっという間の三年間

答辞を読む声は、細くてかわいい声でした。
ぼんやりとそれをききながら、前に答辞の文章を一緒に考えた男の子、今ごろどうしているかな、などと思い出します。

最後は退場してゆく卒業生を、講堂の出口で、教員たちが拍手で送ります。
私もその列に並びました。

退場してくる子ども達が、列になって歩きながら、立っている私を見つけます。

先生
先生

私は言葉が出なくて、何人も何人も頭をなでて、背中をなでて。

やがて卒業生の列が終わりました。

私の卒業式も、そうやって終わりました。


[2008/03/03 10:28] 教育 | TB(0) | CM(4)