永訣の朝 

明日は冷えるそうです。
風花が舞うかも知れません。

父親を亡くしたばかりの子がいる教室で、宮沢賢治「永訣の朝」の授業をすること。

その子は、耐えきれない悲しみを背負っていて、誰も代わってやれないので、時間がたつのを待つしかないと思う。
でも、どうして時間がたつと悲しみが薄らぐのでしょう。
薄らぐのではなくて、自分の中で何度も反芻するうち、形を変えて自分の中に沈殿してゆくのではないかと思ったりします。

家族を亡くした悲しみを、深く悲しむこと。
その子の中でも、それは繰り返し、繰り返し悲しまれるのではないかと思います。
ある日の、そのきっかけが、たとえば「永訣の朝」であったなら、
その子の中に、より純度の高い悲しみが押し寄せているのではないか、と心配し、また喜びます。
今日「永訣の朝」に触れたことで、より深く悲しみ、より深く沈殿されてゆく。

文学の授業の、それは本望であるという気もいたします。

[2007/01/31 13:19] 教育 | TB(0) | CM(2)

うたたね 

こんばんは
今日は日中とてもあたたかでした。

小さな足音。ドアを開ける音。
あ、帰ってきた。
居眠りしてたことに気づいて、飛び起きると、

あれ、そこは大学の研究室。
そういえば、次の授業を待っているんだった。

娘が学校から帰ってきたっていう夢をみるようになりました。

退職して、もう少しで一年になります。


[2007/01/30 23:13] 家族 | TB(0) | CM(0)

貨物列車 

こんばんは
いかがお過ごしですか。

私は今日、ひとりで実家に行ってきました。
日帰りですから、滞在できたのは数時間でした。

駅まで送ってくれた父母と別れて改札口に入ると、
すぐ目の前を、貨物列車がゆっくりと過ぎてゆきました。

貨物なので、駅には止まらないのでしょう。
至近距離です。
どの貨車にも、真っ白な石が積まれていました。
石はみな握りこぶしくらいの大きさで、角はなくて、でもごつごつした感じでした。
みな真っ白でした。
赤茶色の貨車の横に、白い字で「石灰石専用」と書かれていました。
通りすぎてしまうまでの間に、遠い山の中にあるかも知れない、石切場の白い山肌を思い浮かべました。

ゆっくりゆっくり過ぎていったせいでしょうか、絵本の挿絵の貨物列車のようだと思いました。



[2007/01/29 23:56] 家族 | TB(0) | CM(0)

ミスタードーナツ 

こんばんは
あったかくしてますか?

今日、帰り道、何となく「ミスタードーナツ」を買って帰りました。
ドーナツは、あっという間になくなって、テーブルには紙袋が残りました。
見ると、青い空と木の椅子の写真。
「話のつづきがしたいとき。
 笑ってほしいとき。
 仲なおりがしたいとき。
 素直になりたいとき。 
 もって行こ。もって帰ろ。ミスタードーナツ」って書いてありました。 
紙ぶくろなのが、あったかいし、懐かしい感じです。

うん、話のつづき、したいしたい。
うん、笑ってくれるとすごく嬉しい。
仲なおり、したい。
素直になりたい。

そうだ、ミスタードーナツ持って行こう。

どこに行けばいいかな。

この袋が何だか大事な気がして、丁寧にたたんで、とっておくことにしました。




[2007/01/27 22:50] 未分類 | TB(0) | CM(2)

晴れ犬 

私はかなりの雨女です。
たとえば、私の入学式や卒業式はほとんど全部雨でした。

娘も雨女です。
生まれた日も雨、お宮参りは気象台始まって以来の雪。
そういえば、このあいだのキャンプも雨でした。

我が家の愛犬キトリ。
雨だけど仕方がないなって、お散歩に行こうとすると、
あれ、雨があがっています。
そういえば、どんな土砂降りの日も、キトリのお散歩時間だけは不思議に雨が上がっています。
雨だったことって、これまで数えるほどしかないんですよ。

キトリは、晴れ犬なのでした。


[2007/01/26 21:15] 家族 | TB(0) | CM(0)

大切なのは気持ち 

お友達のねずみさんは、雰囲気がちょっと宮沢りえみたいな、可憐な女性です。
彼女の澄んだ美しさを作っているのは、たとえば自分が関わるいろんなことを、どうしても曖昧なままにできない、そういうところかな、と思います。

ねずみさんにはあこがれの人がいます。
大学院時代の先生です。
ねずみさんと先生のおつきあいは、先生の著書を読んでの感想(たぶんとても誠実な)をお伝えしたり、実践協力とか、そういう交流です。

先生は時折、あの映画がよかったよとか、本とか、音楽とか、そういうお話もして下さるそうです。
ねずみさんは、その音楽に熱心に耳を傾け、映画を見、本を読みます。
先生とお話したあとしばらく、明るすぎるくらい明るくなっちゃうねずみさん。

先生、思わせぶりなことしないで!
ねずみさんは独身、先生は結婚されています。
ただでさえ傷つきやすいねずみさん。
実は私は、ちょっとだけ嫌な気がしていたのでした。

でも、今日急に気がついたのです。

ねずみさんと先生の間の、ささやかに静かに通い合う気持ち。

恋愛かどうか決める必要もない、結婚してるかどうかなんて、少しも関係ない。
説明はできないけど、そういう気持ちそのものの大切さ。

この先どうするつもりとか、結果とか、形とか、そういうことばかり気にしてたんだな、私って。
ねずみさんに言わせれば、先生は、教え子として彼女に接しておられるとのこと。
でもそんなこと、どうでもいいことだったんだね、ねずみさん。

今までいろいろ言ってごめんね。




[2007/01/26 20:41] お友達 | TB(0) | CM(2)

センター試験 

センター試験が終わりました。
翌日、見るともなしに、新聞の「国語」の問題を見ました。
初めに見たのは三番の古文。

姿を隠した女と、それを心に残したまま別の結婚をした男。
男がその人であると気づいた女が、顔を見せぬまま、すっとその場から出てゆく。
そのたたずまいに、女の面影を心に浮かべる男。
そしてその瞬間、男は、彼女がさっき書き散らした歌を見つけてしまう。

男にとっても女にとっても叶わぬ恋。
表面的には何事も起こらないけれど、二人の気持ちの中は、それぞれ息つくような瞬間の連続である。
試験場でなくてよかった。こんなにせつない恋の場面、泣いてしまいそう。
『兵部卿物語』。読んだことのない文章でしたが、天下のセンター試験の問題文に、こんなせつない恋の話。
日本の教育を、ちょっと嬉しく思う瞬間でした。

ちなみに、二番の小説問題も恋の話。
四番の漢文は、試験中に居眠りする男の話。しかもその詩心が広大で気持ちいい。
一番の評論文も、よくある話と見せかけて、結局は瞬間志向ってこと?

いいよね、こういうの。


[2007/01/25 08:39] 教育 | TB(0) | CM(1)

がらくたのお餞別 

こんにちは
静かな午後です。
少し雲行きがわるくなってきました。

お友達のdreamさん、仲良しだった友人がアメリカに帰国することになったそうです。
お別れに、彼女がもらったお餞別は、本当のがらくた。

①ちびた鉛筆 ②ティーバッグ ③ばんそうこう ④輪ゴム ⑤爪楊枝 ⑥小さい消しゴム ⑦アイスクリームについてるスプーン ⑧ハート型のシール ⑨ニコちゃんマークのシール

お年玉袋に入っていて、こんな、目録カードつきでね。

① あなたを祝福するリストを書くための鉛筆
② あなたをくつろがせて、あなたの人生にいいことをもたらすティーバッグ
③ あなたの傷を癒すためのばんそうこう
④ 私たちをつなぐための輪ゴム
⑤ あなたを助けるために、すべての人からいいところを掘り出す爪楊枝
⑥ 仕方ない誤りをあなたの記憶から消すための消しゴム
⑦ 私があなたに祈る幸運を全部掘り出すスコップ
⑧ あなたが私にとってどんなに意味がある存在だったか、あなたに知らせるハート
⑨ 私たちの幸せな時間を思い出させるスマイル 

ちょっと、いい話だと思いませんか?

では、お茶でもいただくことにいたしましょう。



[2007/01/24 08:36] お友達 | TB(0) | CM(0)

忘れ物が戻ってきた 

今日いいことがありました。

私はもう長いこと毎月漢方のお医者さんに行っているのですが、何ヶ月か前にそこに忘れていたジャケットが戻ってきたのです。
今朝そこへ行ってみると「院長不在のため午前中は診察ありません」と張り紙。すごくがっかりして帰りかけたけど、遠いので薬だけでもと思い切って中に入ったのです。
お薬を出してくださるということで、待っていましたら、「これあなたの?」って看護婦さんが持ってきてくれました。春秋ものの上着です。
あれ、ここに忘れてたのかあ。
実は私はすごい忘れん坊で、上着をどこかに忘れてきちゃうこと今までも何回かあったのですが、戻ってきたのは初めて!
小さい頃から、お使いも3つ以上頼まれると必ず何か忘れるような子で、母にいつも「浮き世三分五厘」と言われていました。
森本レオによく似たお薬の担当の方が、「あの日はちょっと暑かったですからね」って、私のことを覚えてくださっていたようです。私にはそれがいつのことかわからないなんて。
三分五厘の浮き世の楽しいことといったら。

木造の病院のたたずまい自体、時間を忘れるようなところです。



[2007/01/18 04:32] いいこと | TB(0) | CM(0)