雛の間 

こんにちは。
白木蓮が、枝から一斉に飛び立たんばかりに満開です。

昨日、友人の冬子さんのところへ遊びに行きました。
少し前から、春になったら、美味しい九州のお菓子を持って遊びにまいりますと、二人で楽しみにしておりました。

ところが何と、今月の初めに脳梗塞でご入院、退院されたのは二日前とのこと。
私は、のんきにホワイトデーのクッキーの御礼のお葉書をして、そのお返事で知りました。

それでも結局、お見舞いがてら伺うことに。

お約束の九州のお菓子は、長崎のお雛菓子の桃カステラと、唐津の松露饅頭です。

北欧の鮮やかな色柄の布や小物で彩られた冬子さんのお部屋。
一つ一つが可愛くて、冬子さんご自身の、優しさや厳しさによくなじんでいました。

広島の古い土雛が飾られていて、可憐でした。
万葉集のこと、思い立ったら直ぐに旅行に行っていたというお話。

美味しいお茶、ごちそうになりました。

今年の中秋の名月を、太宰府の都府楼跡でご一緒にとお約束してお別れいたしました。



[2015/03/23 09:52] お友達 | トラックバック(-) | CM(0)

討入りの日に 

こんばんは。
夕方から急に冷えてきました。

お友だちの冬子さんからお手紙が届きました。
冬子さんらしい愉快なお手紙でしたので、少しだけ。




……

今日は極月十四日。義士討入りの日です。
テレビはドラマで討ち入りの映画を放映しています。

もう一五年位前に、十四日に赤穂へ行ったことがあります。
大変な人出で、大石神社の賽銭箱の大きな樽には、こぼれるばかりの賽銭が投げられていて、討ち入り蕎麦の店には長い行列、義士の墓には家事の煙ほどの香煙。
人にもまれ、くたくたになって戻りました。

それから二、三年経って、今度はやはり義士の日に、吉良に行きました。
名古屋から南回りの線に乗り、吉良の駅に降りてみると、小さな貧相な無人駅で、駅前にはうどん屋が一軒あるだけで、タクシーなぞ一台もいません。

短い日は暮れそうになっていて、途方に暮れていると、ふと駅に小さな紙に「タクシーご用の方は電話して下さい」の貼紙がありましたので、電話しました。

待って待って待ちくたびれた頃にタクシーがやってきました。
運転手に吉良の墓のある寺へまず行ってくれと言いますと、最初に案内したのが大きな寺で、「吉良の仁吉」の墓なのです。
何でこんなところに来るのかと言いますと、この墓は、清水の次郎長親分の建てた墓で、自慢のものだと言います。
一緒に行った夫は喜んだのですが、私はヤクザなぞ厭だからと早く吉良の墓へ行こうとせかしました。

吉良の墓はとても小さく、本堂には灯が一つともっているだけ。
誰もいません。
墓はどこにあるのか、もう暗くなっているのでわかりません。
境内に小さな碑があって、「憎まれつゞけて三百年」と彫ってありました。
吉良の町は物音もなく、灯も暗く静まっていました。

翌日、昨日のタクシーが来てくれて駅まで行ったのですが、タクシーを降りたとき、運転手も降りてきて、「吉良へ来て下さってありがとうございました」と深々とおじぎをしました。
何だか悲しくなりました。

又、吉良の町には、A級戦犯の墓があるそうです。
どこも建てさせてくれぬので、吉良に持ってきたとのこと。

……

いよいよ年もつまりました。
今年はまったくいろんな凶事がつづきました。
来年は巳の歳、蛇が脱皮して新しく元気になるように、いい年になるといいですね。

今日は少し暖かいけれど、これからは寒い日がつゞくと思います。
どうか御体を大切になさって、いゝお年をお迎えくださいませ。

                          かしこ


 十二月十四日                      冬子 
                                     」




外つ国の湖の色日記買ふ
隣席に動物学者忘年会      ここ




 

[2012/12/19 00:40] お友達 | トラックバック(-) | CM(2)

筑紫 

こんばんは。
窓に月が見えています。
冬の月です。

大切な友から手紙が届きました。
美しい手紙でしたので、そのままここに。


「 
  

  筑紫       岡部隆一

上古こゝに太宰府正聽があった

草原に埋もれ遺る礎石(いし)の

ひとつに仰臥すると

遠い地下の泉から

かすかな奴婢の嘆息と

笑ひさゞめく令吏らの

若い声が昇ってくる

椎の木に望郷の箜候(ハープ)を

懸けておいたから

いまも秋風に二十五の絃は

さわやかに鳴っている

萱の根にかくれるエンマコホロギよ

屋根越ゆる雲よ

紅葉の美しい谷よ

漂ふ鳥よ

斑の牛よ

いつか僕の幻想の柱廊に

ほろ酔いの大伴旅人が立ってゐた
                      』

昭和十七年、この詩を「山河」という詩誌で読んで、筑紫へ行きたくなりました。福岡市の天神町のアパートに学生時代からの友人が住んでいるので、その友人のところへリュックいっぱいの「さつまいも」と少しの米を背負ってゆき、泊めてもらい、翌日太宰府に行きました。
国鉄の「水城」の駅で降り、駅員の人が都府楼址まで案内してくれました。その頃の国鉄はのんびりしたものでした。その頃の都府楼址は草が茂り、大きな礎石が草の中にありました。礎石に腰をかけ、ほろ酔の旅人を思いました。
「水城」の長い堤は駅のすぐ裏です。その頃はまだ堤だけで少し草が生えている位、水城の全長が見渡せました。
それから何度もゆくたび、水城には木が生え大木にまでなって水城をかくしています。
何故木を伐らないのかと思いましたが、今はどうなっているのでせうか。
何度目かに行ったのは、仲秋の名月の夕方、朝家で新聞を見ると、けふが名月だとあったので、俄かに思い立ち、都府楼へ行くことにしました。その頃の私は旅支度をするのが早くて、一分の後にはタクシーの中でした。
やはり水城の駅で降り、タクシーで都府楼へ。十二時には着いていました。おにぎりを一個食べ、又礎石の上に腰掛けて旅人の歌など口ずさみながら、夕方になるのを待ちました。月はまだ夕方のほの明るいときに昇って来ました。しばらく月を眺め、草の中にすだく虫の声を聞き、又、水城の駅に帰りました。水城駅のホームの傍に白芙蓉が咲いていました。
旅人が都府楼にいたとき、旅人の愛した「児島」という、今で言へばクラブのママみたいな女性はこんな花のような楚々とした美人ではなかったかと思いました。
そのうち都府楼址は整備されて風情がなくなったようです。礎石が野の草の中に埋もれていた時の方がよかった。
最後に見たときは少年たちがサッカーをしていました。
立派な資料館も建って。

(中略)

あなたは福岡と広島でのお仕事大変ですね。よくなさると感心しています。男性なら仕事だけでいゝのに、女性は家事のこといろいろあって男性の倍も三倍も働かねばなりません。
お体大丈夫ですか。
どうかご無理をなさらぬよう 手が抜けるところは手を抜いて、お疲れにならぬようになさってください。
又書きます。

                              冬子            」


                           
[2011/11/16 00:21] お友達 | トラックバック(-) | CM(0)

九月 

こんにちは。
秋らしい青い空を背景に、酔芙蓉が咲いています。

七月に、素敵な葉書を送ってくれた友人から、また葉書が届きました。
嬉しいので、お知らせいたしますね。

「 九月になりました。
  お元気でいらっしゃいましたでせうか。

  一昨年の初秋 奥出雲の銅剣の出土した谷に行きました。
  銅剣の出土の岡の下は、蓮田になっていて、白い古代蓮が咲いていました。
  そこの資料館で蓮茶を飲み、赤米の土用の餅を食べました。

  蓮田を渡る風が涼しく、蓮茶もいゝ味でした。
  とても暑い日でしたが。
                          」

官製葉書に、蓮の植物画の切り抜きが貼ってあります。
細密画で、葉は葉脈の様子まで、実の鞘はくろぐろと、詳しく描かれています。
細密画は、描いた方の細部への集中力が伝わってくるような気がするので好きです。

それから、いつか行った彼女の家に、印刷の賢治の詩が、立派なものらしく掛けられていたのを思い出しました。

九月になりましたね。
お元気そうで何よりです。
私も元気にしています。

何もかもが、とても楽しく思われます。
これをまた、玄関の小さな書棚の上に飾ることにしました。







  

[2010/09/09 11:58] お友達 | トラックバック(-) | CM(4)

七月  

こんにちは。
夕方が近くなりました。

さっき、ちょっと郵便受けを見に行ったら、お友だちから絵はがきが届いていました。
少し前に、私も絵はがきを出しましたから、そのお返事です。

立原道造の詩が書かれた絵はがきでした。
色の文字が愉快で、たのしいはがきです。

表には、少したどたどしい字体で、こんな風に書かれていました。



 七月になりました。
 七月は好きな月です。
 立原道造も好きな詩人なので、彼の詩の舞台になった信濃を旅しました。
 昔のことです。
 高原の風、野のカンゾウの花、小さな「追分」の駅。
 とてもいい旅でした。
               」

嬉しかったので、はがきを玄関の小さな本棚の上に飾りました。

追分は、私にとっても、学生時代のささやかな思い出の場所です。
少しだけ、その時のことを思い出しました。


立原道造 絵はがき2 立原道造 絵はがき3




 村の入口で太陽は目覚まし時計
 百姓たちは顔を洗ひに出かける
 泉はとくべつ上きげん
 よい天気がつづきます
 
         立原道造  
                  」
[2010/07/05 16:55] お友達 | トラックバック(-) | CM(4)

合わせ鏡 

こんにちは
午後になって、少し曇ってきました。

お誕生日に、手鏡をもらいました。
考えてみたらもう一月以上前のことです。

小さな薔薇の浮き彫りのある、鉛の合わせ鏡です。

なぜだかわからないのですが、その鏡を手に取ると、ほんの一瞬、若い頃の気持がよみがえります。
母親になる前。
いえ、もっと、結婚前するずっと前。

素敵だなあって思うこと。
高価なものでなくていいって思うこと。
ふとしたことで、見つけたお店。
少ないお小遣いに頭を巡らせるお買いもの。

不安とか、切なさとか、根拠のない自信とか。
美容院で変な髪型になっただけで、簡単に絶望的になってたこと。

そのときの空気までも、全部、一瞬。

贈りものって不思議ですね。
贈ってくれたのは、一回り以上も年下の友人です。
大学院を修了して、その友人と会う機会もなくなりました。

とりたててどうということもなくなった私の誕生日。
それはちょうど誕生日のその日に、かわいい字の手紙といっしょに、郵便で届きました。

このごろ、一人になると、時々、その手鏡を手に取ってみます。

合わせ鏡。
その友人と過ごした時間と、若い時分の私と。



[2009/07/02 13:57] お友達 | トラックバック(-) | CM(2)

シエラレオネ 

おはようございます。
全国で豪雨のニュースが聞こえています。
朝から、弱い雨が降り続いています。

先日、友人が、来月初めにシエラレオネに行くというので、会ってきました。

シエラレオネって、知ってますか?

アフリカ西海岸の小さな国です。
2002年まで、10年間の内戦
内戦中には、市民の手足を切り落とすなどということもあったらしく、
世界で一番平均寿命が短い国だそうです。
最近は、国連の援助の下、選挙も公平に行われて、復興に向かっている。

これは友人と別れてから、ネットで調べて知りました。

私たちは、図書館前のカフェに向かい合って座りました。

彼女によると、今は、平和への思いが強くて、安全なのだとか。
7ヶ月の滞在だそうです。
これからの彼女自身の進む道の模索も兼ねての旅路のようです。

のんびり者の彼女、あと一週間しかないというのに、

荷造りがまだ。
下宿を引き払う準備もまだ。
予防注射も一つ残ってる。
その上なんと、学部のコマを残してて、その課題の提出もまだ。

私も何でもギリギリのタイプだけど、これはちょっとー。
将来の進路よりも、目の前の荷造りが先だよ。
私と会ってる場合じゃないのでは?

でも、会えてよかった。

電気も十分来てないらしいのですが、国連の仕事なので、ネットは使えるんじゃないかって。
メールするねーって、楽観的。

意欲も、それなりの野心も、能力もあって、だけどそれがなんだかいつもちぐはぐ。
正直で素朴な彼女だけが私の目に映ります。

二人とも、飲み物はとうに無くなって、水を入れた紙コップも空になっていました。

応援してる。うんと頑張ってきてね。

別れ際に、ハグしていい?って聞かれました。
うん。

私は、私より随分若い彼女を、ぎこちなく抱きしめました。

今度いつ会えるかな。
気をつけて行ってらっしゃい。


[2008/08/29 11:05] お友達 | トラックバック(-) | CM(0)

便箋を買いに 

こんばんは
今夜は久しぶりに星が出ています。

お友達の冬子さんから、お手紙がきました。

お返事を書こうと思って、昨日の夕方、便箋を買いに行きました。
今の季節の絵のついた便箋で、お返事したいと思ったのです。

「私は荒っぽい性格なのでダメ。
ある人が私の書くものをとんでもない荒削りな文章だと言いましたが、人に言われなくても私自身がよくよく承知しています。」
「これは生来のもので、努力したところで変わるものではありません。」

ね、このお返事は、やっぱり絵のついた便箋でなくちゃ。

戦中戦後の時代を生きて、誰もみんな大変だったのだのだから、きっと冬子さんも大変だったのだと思うけれど、
どこか何かが、大変だけど大変でない冬子さんの不思議。

随分前に一度、かわいらしい小物が置いてある雑貨屋さんにご一緒したことがあったでしょう。
その一角でお茶にしましたよね。
とっても喜んでくださったのが嬉しくて、今でも覚えているんです。
薔薇の花のカップとソーサー。
シュガーポットの木のスプン。
あの雑貨屋さんの風景に、一番なじんで見えたのは冬子さんでした。

私はさんざん迷ったあげく、花火の絵のと、金魚の絵のと、デザインされた花の絵の便箋を買いました。
結局一つに決められなくて、3つとも買ったのでした。

七夕の笹の絵の便箋もありました。

もうすぐ七夕。
冬子さんのお願い事は何でしょう。

ちょっと心引かれて、このひと夏のためのサンダルも買いました。

昨日の夕方にはもう、ずっと降り続いていた雨も上がっていました。
手にレジ袋をゆらゆらさせながら、その大きなスーパーを出てみると、外は少しだけ暮れ始めていました。





[2008/06/24 00:44] お友達 | TB(0) | CM(4)

飛び石 

おはようございます。
窓からは一面の雪景色
陽があたって、どこもかしこもきらきらです。

昨日、中学校の先生を休職して大学院に来ている友人とお昼をしました。
勉強が楽しいって、本当に楽しそうでした。

学部を卒業したときは、働かなくちゃいけなかった。
自立して、頑張ろうって思ったって。
時々、よく勉強なんかできますねって言われるけど、意味が分からない。
やっとなの。

私もね、今が一番楽しい。
前に戻ってやり直すなんて、考えられないよねー。
ははは。
ふふふ。

小さな心残りが、毎日いっぱい。
あの時、走ってたら間に合ったのにー。
あ、ついでに切手買うつもりだったのに忘れちゃった。
おはよって声をかけたらよかったかな。

分かってるんだけど、出来そうなんだけど、しなかったり、できなかったり。
でも、それがいつも、ちょっとだけ私の背中を押してくれています。
向こうに渡る、小さな飛び石。

小さかった娘に、毎日おかえりって言ってやりたかったな。
修士論文、もっとちゃんと書きたかった。
もっと優しくすればよかった。

庭の下萌の緑の中の、大小の飛び石。
わざと曲がってすすんでゆく小道。



[2008/02/13 09:22] お友達 | TB(0) | CM(0)

青い花 

こんばんは
また冷えてきました。
お風邪をお召しとのこと、その後いかがですか。

昨日の朝、私のところに、青い花が届きました。
空の奥の方の青色です。

届いたのは、小さな寄せ植えの木の箱でした。
濃いのと薄いの、小さいのとそうでないの。
それから、やわらかい色のツタが、少し。
小さい木の箱の中の空です。
よく見ていると、いろいろな青があって、それがまた空のようで、海のようです。

箱の中のものたちは、
いっぱいに伸びようとしていて、(明日の自分たちが嬉しくてたまらない)
笑いながらおしゃべりしていて、(それは今朝通った子犬のうわさだったり)
ときどきケンカもしていて、(狭いんだけどもうちょっと向こうに寄ってよとか)

いつか、ずいぶん前に、「青い花」という本を買った日のことを思い出します。
透明でありたいって、せつなく願っていたことがあったなあ。

手紙には「こちらは例年よりは少しあたたかな冬です。」とありました。
いつか行ってみたいと思っていた画材屋さんの便箋と封筒。
ちょうど切手を貼るあたりには、切手を貼ると隠れるように歌が書かれています。

大空の月の中より君来しや ひるも光りぬ夜も光りぬ

今の私は、あなたが、いつも、あたたかくて優しい風の吹くところにいられるといいなあって思っています。

あの本は、今も、ガラスの扉つきの本棚に入っています。

今ではもう、そんなことを願っているわけではないのに、
この青い花たちを見ている私の中に、あかるい透明が広がっていきます。



[2008/01/31 21:14] お友達 | TB(0) | CM(2)

夕食をともに 

おはようございます。
朝の気持ちのいい空気の中にいます。

昨日、素敵なお夕食に行ってきました。
住宅地の中にある、古い普通の家を作り替えたフランス料理のお店です。
いらしたことがおありかも知れません。

そこは、以前何度か行ったことがあるお店でした。
低い天井、黒い板張りの床。
店内に入ると、その頃のことが遠い夢であったように思い出されました。

お食事は、とても楽しい時間でした。
もう一人のお友達と三人、しみじみしたり、笑ったり、ちょっぴり議論したり。
先生の、真摯で、謙虚で、飾らないお話。
寄り道の多い私達の人生の、冒険的で、なんとなく愉快な、今までとこれから。
老後の話。
テーブルには小さなキャンドルが置かれていました。

先生もそのお友達も独身です。
その気ままさと心細さの入り交じった感じが、お二人の痩せて細い姿に重なって、はかなく感じられました。
所帯持ちの私の哀しみと、また別の哀しみ。
何が寄り道で、何がそうでないのか。
私達は、ずっとキャンドルに照らされていました。

歩き始めてからふと見ると、白い塀に、フランス語の店の名前が浮かんでいました。

いい夜でした。



[2007/09/04 10:30] お友達 | TB(0) | CM(6)

交通事故 

こんばんは
いつのまにか全国的に梅雨明け。
気づかなかったなあ、もう。

大学院の若いお友達が、車で事故をしてしまったそうです。
先月末のことだそうです。
10対0で、彼が悪いのだそうです。
悪いことをしてしまったと思っている様子でした。
さほどスピードは出てなくて、大事故ではなかったようですから、不幸中の幸い。
お相手も、そう悪い人でもなさそうです。
謝りに行ったら、「もういいよ」と言ってくれたそうです。
でも、少し怪我をされたということですし、
彼も胸を打って、痛みがあるようです。

でも、ホント言うと、相手の人が、警察の人の前で急に痛そうにし始めたのも、ちょっとショックだったそうです。
授業料免除や奨学金で、自活しながらなんとか大学院に来ている彼にとって、お金のことも頭が痛い限りです。
いろんなことを考えて、眠れないと言っていました。

私は常々、真面目で、頭がよくて、いつも一歩下がって人のために考えるような彼の人柄を、好もしく思っていました。
だから、特別。私の秘密を教えてあげました。

私もね、事故したことがあるんだ。
ずっと前だけど、バイクの学生さんにぶつかっちゃって。
鎖骨骨折!
骨折は重傷だし、大変だったよー。
事故すると、つらいよね。
もう、怖くなって、一年間くらい運転できなかったんだー。

えー、そうだったんですかあ~。
ふ~ん、ここさんも。
なんか、ホッとしちゃうなあって、ほどけたような笑顔。
「喜んじゃいけないけど」って、さっきまでがうそみたい。

私の事故、役に立っちゃった。
ちょっといばって「結構あることだから。」なんて言っちゃった。

帰り道の運転、ふんふんふんって鼻歌。
役に立つって、うれしいな。



[2007/08/05 00:34] お友達 | TB(0) | CM(0)

おばあちゃん家 

こんばんは
夜になっても、なかなか昼の余韻から抜けられずにいます。

写真集をいただきました。
私家版の、小さな写真集です。
小さな写真が20枚。
友人のお祖母さんの家が写っています。

明るいお庭。
カレンダーが貼られた冷蔵庫。
玄関の手押し車。
どの写真にも、光が柔らかく差し込んでいます。

縁側から座敷の奥まで。
磨りガラスの窓や、裏の屋根の波板をとおして。
私にとっては、見知らぬ土地の、見知らぬ人の家の写真です。

お風呂場。
廊下。
昔のままの壁の落書き。
テレビの上の東京タワーやこけし人形。
それなのに、どれも懐かしい場所の写真のようでした。

その家を包む、穏やかであたたかい光。
そして、その光の中で、今も、みんなが暮らしています。
子どもたちは、いつまでも小さいままで、きっと、日が暮れるまで、どこかで遊んでいるのでしょう。

今は誰も暮らさなくなったお祖母さんの家。

この家に、静かに降り積もってきた、暮らし。




[2007/07/26 23:27] お友達 | TB(0) | CM(2)

桑の木 

こんばんは
今年も、庭の花梨が、たくさん花をつけました。
お友達のiyotoさんからいただいた木です。
花を見るたびに、その日の大騒ぎを、楽しく思い出します。
花梨は、ピンクのかわいい花を、本当に惜しげもなくたくさん咲かせています。

あなたは、花の名前や木の名前、たくさんご存じですか。
私は、誰かから、「これはね」って教えてもらった名前しか覚えていないような気がします。
自分で図鑑で調べても、いつの間にか忘れてる。

去年の夏、大勢で、友人のお宅へおじゃまして、山里をしばらく散策したときのこと。
その木は確か、鬱蒼と木暗い神社の脇にありました。
とても高い木だったので、私はそれが桑とは気付きませんでした。
「桑の木ですよ」って、透き通るような白い指。

その後、しばらくして、私のいつものお散歩コースに、やっぱり高い桑の木があるのに気付きました。
毎日の散歩のたびに、その高い桑の木を見上げます。
そのたびに、美しい白い指と、彼女が被爆したときの話を思い出します。
今年実をつけたら、それを彼女に見てほしいと、私は心に思います。
また、私に、あれが桑だと教えてくれるでしょうか.

炎天下、先を行く彼女の杖。

桑の木は、まだ芽を出していません。




[2007/04/17 23:55] お友達 | TB(0) | CM(2)

豆撒きの朝 

おはようございます。
いいお天気ですね。

食卓の上、無骨で丸くて重い器に、昨夜撒き残した豆が残っています。
ずっと前に信楽に遊びに行った時、体験工房で夫が作った器です。
昨夜の宴の跡です。

床に落ちた豆は、あっという間に犬のキトリが食べてしまいました。
食いしん坊のキトリにとっては、いきなり家中に降ってきたごちそうです。
狂喜の体で大急ぎで食べます。
みんなでその様子を見ては大笑いしました。

年の数だけと言われて、まじめに我慢していた子供の頃。
もう、年の数なんて食べられなくなって、ようやく、そんなことどうでもよかったんだって分かる。
それが分かるのに何年かかったことでしょう。

家中の窓を開けて、「鬼は外」と声に出して。
幼い頃は、鬼がかわいそうで、「ふくはうち」しか言えませんでした。

この家の外には、畑や、桜の木、向こうに見える街。
街には、大事な私の友達が住んでいます。
離れたところに、父と母が住んでいます。
遠い遠い街に、昔好きだった人が住んでいます。

鬼は外、といいながら、その人たちのことが思われます。
みんな、豆撒きしたかなあ。
さぼっているのではないかなあ。
一人暮らしだから、とか、忙しいとか、疲れたとか自分に言い訳をして。

今の私は、「鬼は外」と平気で言います。
あちこちの家の豆撒きのせいで、外は鬼であふれかえっています。
まあ、鬼だっているさ。
このくらい豆を撒いたところで、効き目は今ひとつに決まってる。
私が「鬼は外」って言ったくらいで。

今朝、この窓から見えているのは、いつもと同じ畑と、桜の木と、向こうに街。
昨日追い出された鬼たちはどこに行ってしまったんでしょう。

鬼のいる街に、みんな住んでいる。
私も、友達も、父も母も、昔好きだったあの人も。

さ、お茶にしましょうか。





[2007/02/04 10:29] お友達 | TB(0) | CM(0)

大切なのは気持ち 

お友達のねずみさんは、雰囲気がちょっと宮沢りえみたいな、可憐な女性です。
彼女の澄んだ美しさを作っているのは、たとえば自分が関わるいろんなことを、どうしても曖昧なままにできない、そういうところかな、と思います。

ねずみさんにはあこがれの人がいます。
大学院時代の先生です。
ねずみさんと先生のおつきあいは、先生の著書を読んでの感想(たぶんとても誠実な)をお伝えしたり、実践協力とか、そういう交流です。

先生は時折、あの映画がよかったよとか、本とか、音楽とか、そういうお話もして下さるそうです。
ねずみさんは、その音楽に熱心に耳を傾け、映画を見、本を読みます。
先生とお話したあとしばらく、明るすぎるくらい明るくなっちゃうねずみさん。

先生、思わせぶりなことしないで!
ねずみさんは独身、先生は結婚されています。
ただでさえ傷つきやすいねずみさん。
実は私は、ちょっとだけ嫌な気がしていたのでした。

でも、今日急に気がついたのです。

ねずみさんと先生の間の、ささやかに静かに通い合う気持ち。

恋愛かどうか決める必要もない、結婚してるかどうかなんて、少しも関係ない。
説明はできないけど、そういう気持ちそのものの大切さ。

この先どうするつもりとか、結果とか、形とか、そういうことばかり気にしてたんだな、私って。
ねずみさんに言わせれば、先生は、教え子として彼女に接しておられるとのこと。
でもそんなこと、どうでもいいことだったんだね、ねずみさん。

今までいろいろ言ってごめんね。




[2007/01/26 20:41] お友達 | TB(0) | CM(2)

がらくたのお餞別 

こんにちは
静かな午後です。
少し雲行きがわるくなってきました。

お友達のdreamさん、仲良しだった友人がアメリカに帰国することになったそうです。
お別れに、彼女がもらったお餞別は、本当のがらくた。

①ちびた鉛筆 ②ティーバッグ ③ばんそうこう ④輪ゴム ⑤爪楊枝 ⑥小さい消しゴム ⑦アイスクリームについてるスプーン ⑧ハート型のシール ⑨ニコちゃんマークのシール

お年玉袋に入っていて、こんな、目録カードつきでね。

① あなたを祝福するリストを書くための鉛筆
② あなたをくつろがせて、あなたの人生にいいことをもたらすティーバッグ
③ あなたの傷を癒すためのばんそうこう
④ 私たちをつなぐための輪ゴム
⑤ あなたを助けるために、すべての人からいいところを掘り出す爪楊枝
⑥ 仕方ない誤りをあなたの記憶から消すための消しゴム
⑦ 私があなたに祈る幸運を全部掘り出すスコップ
⑧ あなたが私にとってどんなに意味がある存在だったか、あなたに知らせるハート
⑨ 私たちの幸せな時間を思い出させるスマイル 

ちょっと、いい話だと思いませんか?

では、お茶でもいただくことにいたしましょう。



[2007/01/24 08:36] お友達 | TB(0) | CM(0)