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バレリーナ 

バレリーナという名のバラを植えた
ピンク色で一重の小さな花たちがたくさん
今年も元気に私の庭を飾っている

女の子なら一度は
バレリーナになりたいという夢をみる
本当のバレエを見たことなどなくても

バレエはやっぱり群舞が美しいと思う

有名バレエ団の群舞の踊り手は
皆すばらしく優秀で
揃えて踊る練習なんてしない
決まったフォームで決まった順に
それぞれがそれぞれの踊りを踊る

かわいくて仕方がない私の娘が
ある日、その目をキラキラさせて
バレリーナになりたいと言ったから
何もできない母親の私は
私の小さな庭にこのバラを植えた

踊り手たちが
ステージの眩しい光の中でくるくるとまわる
それぞれの踊り

バレエはやっぱり群舞が美しいと思う

一人一人の細長い手足
倒れそうで倒れない
ほんの指先だけのつま先立ち




[2020/05/30 15:50] | トラックバック(-) | CM(0)

昔話 

一週間の仕事を終えてようやく
家へ帰るために乗った列車が
夕方の桜の国をすすんでゆく

列車は速すぎて
桜の木のそばにいるはずの
誰の姿も見えない

そうだ
遠隔授業の画面の中に
桜を入れよう

まだ合ったことがない学生たちが
そこにいると信じて
パソコンに向かって話しかける奇妙な毎日は
いつか昔話になると思う

私の家の前には
とても大きな桜の木があるの
大正2年に
向かいのおじいさんが生まれた時に植えられたものだそう

おじいさんは養子でこの村に来たのだから
それはちょっとおかしいと思うけれど
昔話とはそういうものかも

少しずつ何かがまちがって
いつのまにか
家にいる私

桜の花びらが
私に向かって絶え間なく降ってくる

それとも
まちがえようのない何かだけが
昔話になるのか

桜の木のそばにいるはずの





[2020/04/10 16:59] | トラックバック(-) | CM(0)

春の彼岸に 

大阪日航ホテル15階
大きな窓から家族3人
歓声を上げながら外を見る

ずっと下の地面の
幅の広い道路には
白い矢印がいくつもいくつも
全車線一方通行右へ右へ

歩道には幾何学模様のタイル
姿勢のよい人が歩いていく
それから赤い自転車の女の子も

向かいの白い建物の
欄間の組子細工のような外壁
なんて素敵
心斎橋大丸ですって
中央階あたりの屋上広場に
赤いパラソルが並んで
あそこはきっとカフェにちがいない

街はあっという間に夜になって
大丸の玄関の
西欧風の高い装飾鉄格子が閉まるのが見える

15階のはめ殺し窓に並ぶ
3人の顔
楽しそうに見えるだろうか

窓の向こう側から
誰かが見ているような気がする
春の彼岸

大阪の町きれい
ねえ、明日はみんなで大丸に行こうね



[2020/03/30 16:22] | トラックバック(-) | CM(0)

永遠(定年後) 

駅の駐輪場はとても静かだ

係員の男たちは黙って作業をしている
自転車たちは皆きちんと前を向いて
じっと止まっている
銀糸の森が奥深くまで続く

男たちは
青い作業服の上に
今までの長い仕事の時間と
複雑で難しい人間関係の記憶をまとい
過不足のない仕事
仲が良くも悪くもなく
明るくも暗くもなく

駐輪場の契約は1ヶ月更新
何もかもが止まったこの場所に
時間は少しずつ降る

それなのに
時間は少しも積もっていない
男たちが毎日丁寧に掃き掃除をするから

ここに時間が降ることを証明しているのは
自転車に貼られたシールの
一ヶ月先の日付だけ

シールは
一ヶ月先には
男たちに丁寧に剥がされて
そのまた一ヶ月先の日付に変わる

銀糸の森に風が抜ける
時間はいつも初雪のように降っている
係員の男たちが黙って作業をしている




[2019/12/26 21:54] | トラックバック(-) | CM(0)

プール5往復 

毎週末、市民プールに泳ぎに行きます
25メートルを5往復と決めています
正味30分くらい

1往復目
私のスイミングフォームもなかなかではないかしらん
水が少し冷たい

2往復目
早くも少し苦しく

3往復目、
泳ぎながら、何のために泳いでいるのだろうと考えてる
どこかへ行くわけでもなく、25メートル行くと戻ってくるって

4往復目
どうやら私は、今でも子どもの頃、学校で習った泳ぎ方をなぞろうとしているらしい

5往復目
これで最後、ちょっと丁寧に泳ぎます

25メートルプール5往復

先週も
3年前も
5年前も

週末
夕暮れの市民プール




[2019/10/10 14:20] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

掛け時計 

8時12分前
少し急がないと

窓から見える坂道に、陽が当たりはじめてる

このワンピースにしよう
今日のお天気に似合うから

ウール毛布で手作りしたアイロン台はとても広くて
フランス製の巨大アイロンは、たいてい暴走気味

水筒にミルクティー
手帳と目薬
読みかけの本

よし
さあ出かけましょう

ちらっと時計を確認

素敵な木の掛け時計
8時12分前







[2019/10/09 02:07] | トラックバック(-) | CM(0)

空は高くてきれい 

こんにちは。
お元気でお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

母からメール。
嬉しいので、そのままここに。

******

今日は風があって、
すすきがなびいて、
とてもすてきです。

でも、暑いのか涼しいのかわかりませんね。

空は、高くてきれいです。


[2019/10/03 14:15] 家族 | トラックバック(-) | CM(2)

ニューヨーク 午後 

さっきから、背の高い青年の話を聴いている。
金色に染めた髪。
この色褪せた黒いTシャツで、どこへでも行くらしい。
風体に似合わない、柔らかな声。

この頃、近所の人の、家の片付けを手伝いに行っているんです。
半分はおしゃべりだから
全然終わらなくて。

ニューヨークに住んでたんだそうです。
翻訳とかして。
穏やかな雰囲気の人なんですけど、
五十年も前に、女性一人で。
すごいと思うんですよね。

古い手紙の束
有名になった友人たちの名前
五十年前のニューヨーク

五十年前のニューヨーク
有象無象のアーティストたち
生活の悩み
孤独

夏の、秋の、冬の、
ニューヨークの街

喧噪
友人たち

片付けはなかなか終わらない。
半分はおしゃべりだから。

穏やかな瞳に映る、
時折やってくる金色の髪の青年

長い午後



[2019/09/29 08:45] | トラックバック(-) | CM(0)

新学期が始まりました 

新学期が始まりました。

みなさん、夏休みはいかがでしたか。
どんな風にお過ごしでしたでしょう。

よい本に出会えましたか。
どこかへ出かけた方もあるでしょう。
コンサートや映画、漫画なんかもいいですね。

心に残ったこと、ぜひ皆さんにお聞かせ下さい。
私も、私の夏休みのことお話ししますね。

では誰からお願いしましょうか。
教室の四隅の方でじゃんけんして、一番初めの人を決めましょう。

新学期が始まりました。


[2019/09/28 23:15] | トラックバック(-) | CM(0)

市内電車 

市内電車、宮島口行き
知らない人同士、向き合って座っている

白いスカートの人
虹色運動靴のお婆さん
車掌さんが車内を歩いてくる

みんなで横にゆれる
みんな、神様の島へ、がたんごとんと運ばれてゆく

小網町停留所 乗降客なし
このすぐ近くで、建物疎開動員の全校生徒が被爆
慰霊碑は、数年前に校内に移設されて、今はもうここには無い

それもいいかもしれない
みんなでまた、学校に来られたね

今日も、市内電車は、
広島の街と、神様の島の間を、行ったり来たり




[2019/08/31 02:26] | トラックバック(-) | CM(2)

深い湖の青色 

こんばんは。
お元気でいらっしゃいますか。
お盆の帰省旅行から戻りました。
お盆は、日常を離れて、宙に浮いたような、不思議な時間ですね。

母が、ベストを編んでくれました。
ずっと前に、織物のために準備していたたくさんの絹糸の中から、
青い色糸を数本合わせて。

明るくて、澄んだ水色。
その向こうの青色。
その奥に見えている深い青色。

静かで、規則正しい模様。
ラメ入りの糸がところどころで光ります。

私は嬉しくて、その青い色を長い間見ています。

あまり人が来ない山奥の湖。
複雑な青い色の水は、深みを湛えて、
水面は明るい陽にきらきら。
時々風が吹いて、さざなみが立ちます。

私は、何にもしないで、長い長い間、見ています。

いえ、湖を見ているのは、母。
それとも、母と、子どもの頃の私。
いつのまにか年をとった私。

深い湖の青色を、いつまでも見ています。



六地蔵のお一人白し秋の昼     ここ



[2019/08/17 23:34] 家族 | トラックバック(-) | CM(0)

のぞき眼鏡 

こんにちは。
おげんきでいらっしゃいますか。

暦は秋になりました。
空だけ先に秋らしくなっています。

このごろ急に本の字がぼんやりとして見えにくくなりました。
老眼が進んできたようです。

少々面倒を感じながら、
ケースから眼鏡を取り出し、
どれ、という感じで本を覗き込みます。

すると、おや、
文字が急にはっきりと見えて、
並んだ言葉たちが何か言っております。

そうそう、
本の世界って、
どれ、って覗き込むところなのでした。

子どもの頃にも、そんな風に思っていた気がいたします。
それをふっと思い出しました。


初秋や六角形のお菓子箱        ここ



[2019/08/11 00:37] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

りんどう 

こんにちは。
梅雨が明けましたね。

お仕事の帰りに、花を買いました。
りんどうです。

手の中のその色が、あんまり青くて、
あんまり青くて、

ああ、夜の軽便鉄道からジョバンニとカンパネルラの二人が見たりんどうは、こんな色だったかしら。

カンパネルラ 「誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。」

ジョバンニ 「ほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼やいてもかまわない。」

まだすっかり暮れきらない、福岡の遅い夜
浮かび上がるビルの輪郭
行き過ぎる人々

ほんとうの幸...

点滅する信号を遠くに見ながら、
家路を歩んでいます。



*********

「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」カムパネルラが、窓の外を指さして云いました。
 線路のへりになったみじかい芝草の中に、月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんどうの花が咲いていました。
「ぼく、飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗ってみせようか。」ジョバンニは胸を躍らせて云いました。
「もうだめだ。あんなにうしろへ行ってしまったから。」
 カムパネルラが、そう云ってしまうかしまわないうち、次のりんどうの花が、いっぱいに光って過ぎて行きました。
 と思ったら、もう次から次から、たくさんのきいろな底をもったりんどうの花のコップが、湧くように、雨のように、眼の前を通り、三角標の列は、けむるように燃えるように、いよいよ光って立ったのです。



[2019/07/31 18:07] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

それぞれ 

こんばんは。
今日は降ったりやんだりの日でした。
そちらはいかがでしたか?

電車が動き出して、
ホームで、
手を振ってくれている母。

小首をちょっとかしげて、
小さな女の子のよう。

この頃、少しだけ髪をのばしているせいかな。

実は、
母は、髪洗いがあまり好きではありません。

そして私も。
それから娘も。

髪型はそれぞれ違うけれど、
ふふふ、
おんなじ。

それぞれ、素敵なシャンプーを買ったりね、
しています。


半夏生手かごに糸の濃紫    ここ



[2019/07/13 22:29] 家族 | トラックバック(-) | CM(0)

今日の仕事 

お百姓さんが畑を耕すように、
私は私の今日の仕事をしましょう。

今日の私の仕事。

午前中は、授業。
国語の先生になりたい人のための授業です。

国語の先生の仕事は、
人が、生きてきた中のいろいろを伝えようとする言葉を、
生きている人として受け止めて、
その姿を子どもたちに見せること。
子どもたちも同なじように、それぞれに生きてゆくのだということを忘れないこと。

お昼休み、
教育実習が辛かった学生さんのお話を聴く予定。

午後は、
いろんな振り込みを事務室に依頼する書類を作る(苦手)。

大学に向かう同じ電車に、見覚えのある学生さんたちがちらほら。
学び舎に向かう私たち。

私は、畑に向かうお百姓さんのように、
お弁当と本の入った、重いカバンを抱えて、
学校に向かっています。



ふねきんぎょふうせんかえる星祭       ここ




[2019/07/07 15:30] 教育 | トラックバック(-) | CM(0)

緑の家 

小さな緑の家に住んでいます。
お庭に、花の咲く木をたくさん植えました。

一日中、鳥の声が聞こえています。

洗濯物を干す時も
(きじばと)

お茶の時間も
(いかる)

お昼寝の間も
(ほととぎす 遠くで)

私がいない間も

一日中、
鳥の声が聞こえています。

私がいない間も






[2019/06/20 10:20] | トラックバック(-) | CM(0)

週末 

こんにちは。
日中は暑くて、昨日の夜とは違う場所のよう。



週末

迎えに来ているはずの夫の姿を探しながら、
改札口へ。

70年前、無残な焼け野原だったこの街に、
私は、何度も、何度も、帰ってきます。

ちょうど、
変身から戻ったヒーローが、
ひと仕事終わった明るさで、
子どもたちと話しながら歩いている時間です。

夫が、人に交じって、ぽつんと立っているのが見えます。

ここでは、時計が全部、爆風の熱でゆがんでしまったせいで、
時間の流れが少しだけゆがんでいます。

改札を出ると、
この街特有の、哀しみの風が流れていました。

私は深く息を吸いこみます。



水無月の底トランクの縞模様   ここ



[2019/06/19 16:18] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

点景・厚狭駅 

こんにちは。
夕方になって、晴れてきました。

昨日は両親の家に参りました。

厚狭駅で乗り換え待ち。
新山口駅行き、上り列車を待っているのは、
私の他にもう一人だけ。
向かいの下関行きのホームには、七,八人。

線路に明るい陽があたっています。
線路の間に鉄道草が生えてきています。
ひばりが鳴いています。




[2019/06/09 16:28] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

オキーフの家 

こんにちは。
雨上がりの週末。
いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

美容室には書棚があって、
私の髪をカットしてくれている背の高い青年に、おすすめの本を尋ねると、
「オキーフの家」という写真集を見せてくれました。

かっこいいんですよね。

画家のジョージア・オキーフが、晩年を暮らした家。
モノクロの写真集です。

ニューメキシコ州の砂漠地帯。
土を四角く固めて作ったような家。

家具の少ないその家の、入り口付近の細長い棚に、
砂漠で拾ったという動物の頭蓋骨が並んでいます。
(彼らは、彼女の乾いた絵の中で、今も砂に埋もれています。)
白く乾いた骨たち。

飾りはほかに、濃い色の変わったモビールくらい。
全体にグレーがかった中で、 黒いかけらたちが目立っていました。

かっこいいですよね。
でも、だからって、頭蓋骨を買ってきて部屋に置くのは違うと思うんです。
ホームセンターで流木とか売ってるじゃないですか、そういうの。

お店を出ると、
夏至も近い福岡の街の、遅い夕闇。

私もこの街で、
私の、「骨」を探そう。

猫が道路を横切っていきました。







[2019/06/08 15:20] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

幸せの窓辺 

おはようございます。
いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
佳い季節ですね。

火曜日の朝は、新幹線で福岡へ移動です。
車窓は一面、緑、緑。

実家の付近を通り過ぎる頃、
両親に充てて絵葉書を書きました。
明るい色の花々に囲まれた窓辺を描いた刺繍の写真の絵葉書です。
隅に「幸せの窓辺 Ⅰ」というタイトルが記されています。


「 初夏。
いいお天気になりました。
いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

先日、福屋デパートで、戸塚刺繍展がありましたので、ちょっと覗いて参りました。
刺繍はいいなあ。
幸せな時間が形になって現れてる感じがいたします。
幸せをおすそ分けいたしますね。写真ですけど。
パパの絵も、幸せの絵だなあっていつも思っています。

今週末は、お仕事で大阪です。
せっかくなので、3人で集まることにしました。

ではまたね。 5/21 ここ 」



[2019/05/21 09:52] 家族 | トラックバック(-) | CM(0)

気を取られる 

こんにちは。

1278番の方。
お名前を仰って下さい。
どっちの腕にしますか?
アルコール消毒、大丈夫ですか?

大きなコアラの顔がこちらを向いています。
「おい、お前、どっから来た?」

コアラのくせに、なんてオヤジっぽい顔!
目の奥がニヤついて、ちょっとからかってやろうかって、
そんなことはお見通しですから、返事なんかしません。

ハイ、終わりました。
3分くらい、押さえててくださいね。




[2019/05/18 12:32] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

小鳥の歌 

おはようございます。

先週、詩人の若松英輔さんのお話を聞きにまいりました。
しんとした、静かな気持ちになりました。
言葉の向こうの、深い悲しみに打たれたのだと思います。
感謝と尊敬を込めて、私も、詩のようなもの書いてみました。



小鳥の歌

やさしいあなた。

あなたが私のことを、こんなにも大切に思って下さっていることに、
私は、本当に長い間、気がついていませんでした。

今はわかります。
あいかわらず無口で、あんまり表情も変えないけれど。

ある日、気づいたのです。
ずいぶん時間がかかってしまいました。

私は年をとって、白髪が目立つようになりました。
あなたもお父さんの歳を越えましたね。

愛されていないことを悲しんでいた若い日の私に、
少し苦笑いしながら、
私は、静かに私の声に耳を傾けます。
あなたが、ずっとそうしてくれていたように。

私の声。
あなたを呼ぶ、小鳥の喜びの歌のような。



[2019/05/18 12:22] | トラックバック(-) | CM(0)

遠くまで行ける 

こんばんは。

昨日、箱崎駅にて。

ホームに上がったところで、
二日市行きの電車の扉が、目の前で閉まりました。

これといって急いでいたわけではありません。
しばらく待って、
次に来た南福岡行きの電車に乗りました。

さっきの電車の方が、遠くまで行ける電車でした。
残念。

博多駅で降りるのだから、どちらでも変わりありませんけれど。



癒やされぬ悲しみのうた聖五月         ここ







[2019/05/12 00:32] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

音あそび 

こんにちは。

子どもの頃、ピアノを習っていました。
あんまり上手になりませんでしたけれど。

練習嫌いの私にとって、ピアノが面白かったところというと、
自分が鳴らしている音で、
何か感情の波のようなものが出てくる不思議な感覚でした。

少女の私が、黒いアップライトのピアノに向かっています。
曲がもともと持っている気分の波に乗って、
私の気分にも、エンジンがかかります。
ういいぃん。

気分にまかせて音色を響かせます。
ういいぃん。

うまく弾けると良いのですけど、たいていは、あちこち弾けないので、つまりません。

そうだ、ミの音だけでもいいのかも。
ミの音に、気分を乗せて、
ういいいん。

いい感じです。
やった、練習しなくてもいいじゃん。
ういいいいん。

声だったらどうかしらん。

う、み、海!
こ、と、り、小鳥!
遊、ぼ、う・・・。
お、か、え、り。

これはいい感じです。
楽しい。

あ、これも音だけでいいのかも。
やってみます。

マ、
ういいん。

ママ
ういいぃん

あれ、なんだか涙が。




[2019/05/08 16:57] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

煙突の下で 

おはようございます。

今日は、父からもらったスミレのハンカチを持って出かけます。
バレンタインのお返しの品です。
とても素敵。

新幹線の車窓に広がる曇り空。
下松発電所が見えます。
大きな、白い煙突がある建物です。

私は、あの高い煙突の下辺りにある社宅で、
3歳までを過ごしました。
それって、生まれてから、歩いてどこへでも行けるようになるまでの時間ですね。

明るい地面の記憶。
ふと、私って、その頃から、外を歩くのが好きだったのではないかなって気がつきました。

全然覚えていませんけれど、
うまく歩けなくてもへっちゃらで、どんどん行く。
きっと、父か母がいつも傍にいてくれたのでしょうね。

今と同じ。




[2019/04/23 07:14] 家族 | トラックバック(-) | CM(0)

詩の手帳(採集用) 

こんにちは。
新学期になりました。

詩を書き留めるための、小さな手帳を買いました。

クリーム色の表紙。
紺色のゴムつきです。

さあ、これからいっぱい捕まえるぞー。

平凡な私の、平凡な毎日の中の、
たくさんの詩のかけらたち。

新しいノートの匂い。
新学期です。




[2019/04/11 11:30] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)

とびばこよりも 

こんにちは。
短い春休みを過ごしています。

ところで、跳び箱はできますか?
何段飛べますか?
では、馬とびはいかがですか?

謝恩会では、学生さんにむけて、最後のお話をいたします。
はなむけにと、自分で拙い歌や句を作ってゆくこともあるのですが、
今年はできませんでしたので、気に入った詩を読むことにいたしました。

山本純子さんの作品「とびばこよりも」です。
学校が大好きな私が、一目で気に入った詩です。

これで学校を終える卒業生のみなさんのはなむけに、
心を込めて朗読しました。

卒業生の皆さん、
高い高い跳び箱を跳べるようになることよりも、
たくさんの人の背中を借りて、どうぞ、うんと遠くまで進んで行かれますように。


***********


とびばこよりも    山本純子


 とびばこ
 よりも
 馬とびがすき
 
 だれか
 馬とびしませんか

 さきに
 馬になってくれたら
 わたしが
 つぎに馬になります 

 じゃあ もうすこし
 ひくくなってね
 と いろんなひとに
 こえかけて

 とびつとばれつ
 とびつとばれつ
 とんでいったら
 もう
 そつぎょうのひに
 なりました

 がっこうじゅうを
 ひとあるき
 みんな 
 せなかをかしてくれて
 ありがとう
 と つぶやけば

 がっこうは
 いちめん
 あおくさのにおいに
 みちていて

 てのひらは
 せなかのきおくで
 いっぱいだ


 山本純子詩集『きつねうどんをたべるとき』(ふらんす堂 2018.10)





[2019/03/19 10:42] 教育 | トラックバック(-) | CM(2)

卒業論文集 あとがき 

こんにちは。
春の、落ち着かない天気が続いています。

先週の金曜日、大学の卒業式が行われました。
親しくしてきた学生さんたちが、皆さん、それは美しい袴姿で、卒業してゆかれました。

私は、少しも別れの実感が持てないまま、送り出しました。
元気で、ご自身の人生を頑張って生きていってほしいと、
切に願います。
皆さん、ありがとうございました。

今年も、卒業論文集を作りました。
皆さんとのいろいろなことを忘れませんように、
あとがきをここに。


***********

卒業論文、大変おつかれさまでした。
今年は、全員の論文が揃うのか、少々心配いたしました。
やっと安堵しています。

 卒業論文のテーマは、かなり個性的で愉快なものになりましたね。
どれも書き手の方のこれまでを深く反映しているのが特徴です。

Aさん、Iさん、Kさん、Nさん学生寮の仲間たちは、皆さん鷹揚として力もあり、とても個性的です。
本音でお付き合いのできる寮経験のたまものでしょうか。
それぞれにご自身のテーマを深めました。

TさんとKさんには、運動部で培われた強さや知恵を目の当たりにして、何度も感心させられました。
ゼミ一番の文学者はHさん。
Uさんの「資料検索BOOk」には、学科中が驚きました。
私も含め何かと頼りにしておりました。
ありがとうございました。

夏の合宿は、中津市からの合宿援助を頂いて、愉快な旅になりました。
(Kさんありがとうございました。)
宇佐神宮での一生懸命なお願いも、きっと御利益があったでしょう。

そういえば神様は、合宿に(集合写真にも)参加できなかったMkさんにもちゃんと味方してくださって、卒論のテーマと研究の神様が降って来たかのようでした。
Mdさんの最後の会のご参加でようやく勢揃い。みんなで大喜びでした。

今年のここゼミは、こうしてずっと語っていたいようなそんな温かいゼミでした。
いつも何だかよく笑う、そんな仲間たちでした。
よい時間を、本当にありがとうございました。

自分の目で見て、自分の足で歩もうとする人は、静かに光を発しています。
人と笑い合える柔らかさと温かさは、力なのだと思います。

私は、卒業論文のささやかな取り組みと、仲間たちとの時間が、きっと皆さんのこれからを照らし続けてくれると信じて、
こうしていつまでも大学の仕事をしています。
そして私は、今までのものが何も参考にならないような、大きく変化する社会に船出してゆく皆さんを、
後ろからいつまでも見送っています。

でも少しも心配していません。
皆さんがご自身の光の中にあるからです。

ご卒業 おめでとうございます。
心から、お祝いを申し上げます。

2019年3月15日   ここ



[2019/03/18 15:33] 教育 | トラックバック(-) | CM(0)

雛飾り 

こんにちは。
三月三日の今日は、雨になりました。

今年は、お雛さまを、リビング横の和室に飾りました。
娘が赤ちゃんの頃以来のことです。
お雛さまは、今も真新しいかのようです。

お雛さまの前に敷かれた小さいお布団に寝ている、赤ちゃんの娘が目に浮かびます。
20年以上前のこととは思えない、鮮明さで。

当時は想像もできなかった、50歳をとうに過ぎた私がここにいて、
そちらはぼんやりした映像のよう。

あの頃と同じ様に、紅梅や、山茱萸の花が、窓から見えています。



待ちながら過ぎてしまへり雛祭   ここ


[2019/03/03 11:54] 家族 | トラックバック(-) | CM(0)

莫祢氏(あくねし) 

こんばんは。
夜も更けて参りました。

今日はすっかり遅くなって、お食事に出かけました。
初めてのお店です。

カウンターに腰掛けました。
静かなだなあと思ったら、
そう、音楽がかかっていません。

かなりしばらくして、付き出し。
いいだこ。
どうやらいいところに来たみたい。

あじ刺し。
昼間引いたおみくじを出して読みます。
中吉。

焼きさわらとあおさ。
このたびは幣もとりあえず手向け山…
この歌、なんだか間が抜けた感じが。
運気ひと休みの感あり。

春菊の出汁びたし。
待人 来れども遅し。
病気 気長に療養すれば吉。


*本日、飛梅五分咲きでした。



[2019/01/30 23:48] 日記 | トラックバック(-) | CM(0)